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[MIS30-P06] 日本海堆積物のTOC含有率の高時間分解能資料を用いた第四紀後期の年代層序
キーワード:第四紀後期, 日本海, TOC, 年代層序
日本海から採取された堆積物コア試料を対象として,第四紀後期のTOC含有率を高時間分解能(約100年間隔)で測定し,その経年的変動が軌道要素スケールだけでなく,D-Oサイクル・スケールでもグリーンランド氷床NGRIPの酸素同位体比変動とよく一致することを明らかにしてきた(例えば,Urabe et al., 2013).本研究では, 日本海上越沖で採取されたMD179-3312コアの高い時間分解能を持つTOCプロファイルを日本海の基準とし,それをグリーンランドの氷床(NGRIP)の酸素同位体比プロファイルに合わせてTOC変動のピークや谷の年代をNGRIPに一致させた.このマッチングにはLisiecki and Lisiecki (2002)によるMatchプロトコルを用いた。マッチング前の両者の変動には, 最大で4,000年ほどのズレが生じており, どちらかが系統的に先行するといった傾向はなく, 年代的な前後関係は一様ではない.マッチング後の年代目盛りに基づいて, MD179-3312で認定したTL層(角和ほか,2013)に新たな年代を与えた。
一方, 堆積物の経年的TOCプロファイルが日本列島沿岸の日本海でよく似た変動を示すことが分かってきた.そのため,先述したようにマッチングさせたMD179-3312コアに上越沖(MD179-3304), 秋田沖 (MD01-2408), および隠岐堆(MD01-2407)の3つのコア試料のTOCプロファイル資料をマッチングさせて統合し,「日本海における標準的なTOC層序的変動カーブ(TOCJCcom :Japan Sea TOC compile)」を作成した。これでは4地点の資料が平均化されているので,局地的な乱れは抑えられている.この平均化されたTOCプロファイルは日本の湖沼堆積物のTOC変動と良く一致する. TOCJScomと中国南部のHulu洞窟, Sanbao洞窟の石筍の酸素同位体記録(Wang et al.,2001, 2008)とを比較した. MD179-3312のTOCプロファイルも中国南部の石筍記録とよく一致していたが,TOCJScomでは最終退氷期, MIS3前期, 4, 5.1, 5.2において, 年代層序的な対応関係に改善が認められた.一方,不一致も確認できるが,その原因の一部は日本海の局地的な環境条件の変化にあると考えられる.
一方, 堆積物の経年的TOCプロファイルが日本列島沿岸の日本海でよく似た変動を示すことが分かってきた.そのため,先述したようにマッチングさせたMD179-3312コアに上越沖(MD179-3304), 秋田沖 (MD01-2408), および隠岐堆(MD01-2407)の3つのコア試料のTOCプロファイル資料をマッチングさせて統合し,「日本海における標準的なTOC層序的変動カーブ(TOCJCcom :Japan Sea TOC compile)」を作成した。これでは4地点の資料が平均化されているので,局地的な乱れは抑えられている.この平均化されたTOCプロファイルは日本の湖沼堆積物のTOC変動と良く一致する. TOCJScomと中国南部のHulu洞窟, Sanbao洞窟の石筍の酸素同位体記録(Wang et al.,2001, 2008)とを比較した. MD179-3312のTOCプロファイルも中国南部の石筍記録とよく一致していたが,TOCJScomでは最終退氷期, MIS3前期, 4, 5.1, 5.2において, 年代層序的な対応関係に改善が認められた.一方,不一致も確認できるが,その原因の一部は日本海の局地的な環境条件の変化にあると考えられる.