日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS32_30PM1] 地球掘削科学

2014年4月30日(水) 14:15 〜 16:00 416 (4F)

コンビーナ:*斎藤 実篤(独立行政法人海洋研究開発機構)、池原 研(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、廣野 哲朗(大阪大学 大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻)、梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、座長:池原 研(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、阿部 なつ江(独立行政法人海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域)

15:15 〜 15:30

[MIS32-19] 巨大海台掘削の成果と今後の展望

*佐野 貴司1中西 正男2 (1.国立科学博物館、2.千葉大学)

キーワード:巨大海台, 大規模火成区, プルーム, マグマ成因論

巨大海台は地球の歴史上で最大の火山活動により形成された火成岩体であり,数十万?数百万立方キロメートルもの体積がある.巨大海台のマグマ成因モデルに関しては,マントル下部から上昇してきた巨大なプルームに起因するという説が有力であるが,プルームの証拠を示す決定的な岩石学的・地球化学的データは得られていない.このため,プレート境界下での溶けやすいマントルの溶融モデルや巨大隕石衝突などのモデルも提案されている.検証が困難な理由として,多くの巨大海台は大陸縁辺部に形成されたため,大陸リソスフェアの混染の影響があり,プルーム成分の検出が難しいことがあげられる.西太平洋に分布する巨大海台(オントンジャワ海台やシャツキーライズ)は,大陸リソスフェアの影響がないため,マントル情報を得やすいという利点がある.このため,複数の巨大海台で掘削が行われている.特に,国際深海掘削計画第192次航海と統合国際深海掘削計画324次航海はオントンジャワ海台とシャツキー海台の基盤岩掘削を主目的とした.そして,複数の研究成果が得られてきた(例えば,Fitton and Godard, 2004, J Geol Soc Lond Spec Pub 229, 151-178; Tejada et al., 2004, J Geol Soc Lond Spec Pub 229, 133-150; Sano et al., 2012, Geochem Geophys Geosyst, 13, Q08010).しかし,これまでの巨大海台の基盤岩掘削の厚さは300m未満と薄く,巨大海台の厚さである30kmの1%に満たなく,プルーム成分の検出も行われていない.このため,更なる深部掘削が必要である.巨大海台を形成したマグマの全体像を把握するためには,海台全体の1割程度は調査したく,3000m程の掘削を希望している.「ちきゅう」は3000mを超える掘削が技術的に可能であり,今後の掘削が期待されている.