18:15 〜 19:30
[SCG66-P03] 褶曲の波長と振幅の自己アフィン性
キーワード:褶曲, 自己アフィン, バッキンガムのPi定理, Incomplete self-similarity
地形は、異なる倍率で見た場合においても、その形状が同じように見えるスケール不変性を持っている。そのような地形に対してMatsushita and Ouchi (1989a, b)は、自己アフィン解析を行った。その結果、地形が方向によって異なったスケーリング指数により定義される自己アフィン性を持つことを報告した(Matsushita and Ouchi 1989a, b)。Kikuchi et al. (2013)は、その自己アフィン性が普遍的に地形・褶曲において存在するかの検証を行うために、Matsushita and Ouchi (1989a, b)の解析の方法を、東北本州弧の地形・褶曲に適用した。この分析により褶曲が、振幅と波長において異なったスケーリング指数により定義される自己アフィン性を持つことを報告している(Kikuchi et al., 2013)。
褶曲に対してShimamoto (1979)は、次元解析のバッキンガムのPi定理を適用し、波長と層の厚さの関係を導いている。しかし、Shimamoto (1979)では、Kikuchi et al. (2013)で報告されている褶曲の振幅と波長に対する自己アフィン性が指摘されていない。そこで、褶曲の次元解析において自己アフィン性を導くために、Barenblatt (1979)のIncomplete self-similarity理論を援用した。この理論を使うことにより従来の褶曲の次元解析で考慮されてこなかったゼロまたは無限大になり考慮されてこなかった量を考慮することができる。その量を考慮した結果、褶曲における波長 (a) と振幅 (L) の関係を次のように導出した:
L(1-d)∝a.
Kikuchi et al. (2013) で得られたハースト指数Hとdとの関係は、次式で表現される。
1-d=H.
ここでハースト指数Hは、振幅と波長に関するスケール指数の比で、dはIncomplete self-similarity理論から得られたべき指数である。このdが0でない(H≠ 1となる)場合は、スケールされる方向によってスケーリングの違いがある自己アフィン性であることを意味する。この場合は、方向により褶曲の形成のされ方が違かったものと考えられる。もしこの指数dが0である場合、ハースト指数は、H = 1でスケールされる方向に違いがない自己相似性であることを意味する。この場合は、方向により褶曲の形成のされ方の違いはなかったと考えられる。褶曲はテクト二ックな応力場と重力により形成され、その形成過程が等方性的か異方性的かの違いにより自己相似性、自己アフィン性が表れると考えられる。
参考文献
Barenblatt, G.I. (1979) Consultants Bureau, New York.
Kikuchi, K., K. Abiko, H. Nagahama, H. Kitazato, and J. Muto (2013) Acta Geophysica, 61, 6, pp. 1642-1658.
Matsushita, M. and S. Ouchi (1989a) Physica D, 38, 1, pp. 246-251.
Matsushita, M. and S. Ouchi (1989b) Journal of the Physical Society of Japan, 58, 5, pp. 1489-1492.
Shimamoto, T. (1974) Tectonophysics, 22, pp. 253-263.
褶曲に対してShimamoto (1979)は、次元解析のバッキンガムのPi定理を適用し、波長と層の厚さの関係を導いている。しかし、Shimamoto (1979)では、Kikuchi et al. (2013)で報告されている褶曲の振幅と波長に対する自己アフィン性が指摘されていない。そこで、褶曲の次元解析において自己アフィン性を導くために、Barenblatt (1979)のIncomplete self-similarity理論を援用した。この理論を使うことにより従来の褶曲の次元解析で考慮されてこなかったゼロまたは無限大になり考慮されてこなかった量を考慮することができる。その量を考慮した結果、褶曲における波長 (a) と振幅 (L) の関係を次のように導出した:
L(1-d)∝a.
Kikuchi et al. (2013) で得られたハースト指数Hとdとの関係は、次式で表現される。
1-d=H.
ここでハースト指数Hは、振幅と波長に関するスケール指数の比で、dはIncomplete self-similarity理論から得られたべき指数である。このdが0でない(H≠ 1となる)場合は、スケールされる方向によってスケーリングの違いがある自己アフィン性であることを意味する。この場合は、方向により褶曲の形成のされ方が違かったものと考えられる。もしこの指数dが0である場合、ハースト指数は、H = 1でスケールされる方向に違いがない自己相似性であることを意味する。この場合は、方向により褶曲の形成のされ方の違いはなかったと考えられる。褶曲はテクト二ックな応力場と重力により形成され、その形成過程が等方性的か異方性的かの違いにより自己相似性、自己アフィン性が表れると考えられる。
参考文献
Barenblatt, G.I. (1979) Consultants Bureau, New York.
Kikuchi, K., K. Abiko, H. Nagahama, H. Kitazato, and J. Muto (2013) Acta Geophysica, 61, 6, pp. 1642-1658.
Matsushita, M. and S. Ouchi (1989a) Physica D, 38, 1, pp. 246-251.
Matsushita, M. and S. Ouchi (1989b) Journal of the Physical Society of Japan, 58, 5, pp. 1489-1492.
Shimamoto, T. (1974) Tectonophysics, 22, pp. 253-263.