日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM36_30PO1] 電気伝導度・地殻活動電磁気学

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*山崎 健一(京都大学防災研究所)、多田 訓子(海洋研究開発機構)

18:15 〜 19:30

[SEM36-P12] 応力磁気効果起源の電磁場変動計算における無限媒質近似の妥当性

*山崎 健一1 (1.京都大学)

キーワード:応力磁気効果, 電磁場変動, 電気伝導度, 半無限媒質, 無限媒質

地殻内部で応力変化が生じると、応力磁気効果を介して地表での磁場変化が生じる。この磁場変化は、いくつかの仮定のもとで次のように計算することができる。適当な応力磁気効果の構成則と応力分布を仮定すれば地殻内の各点における磁化変化が計算される。十分な時間が経過した後の磁場変化は、地殻内の各点における磁化変化が作る静磁場を積分することで求められる。この方法で、点膨張源や矩形断層の一様変位などから生じる磁場変化の表現式が求められている。それは測地データの逆解析とは独立な応力源位置情報を磁場変化の観測値から推定するためなどに利用できる。
近年、地震発生等による応力変化発生後ただちに発生する磁場変化が報告されており、その主要な原因も応力磁気効果であろうと考えられている[Okubo et al. 2011, EPSL]。しかしこの場合、十分な時間が経過したとみなして計算した結果が妥当か否かは検討が必要である。磁化の時間変化をあらわに考えるためには、静磁場を扱うのではなく、時間変化する電磁場を扱う必要がある。その際に重要なパラメータは、地殻の電気伝導度である。簡単な状況のひとつとして、有限電気伝導度をもつ大地と絶縁大気からなる二層モデルを仮定した場合に応力磁気効果から生じる電磁場を計算した結果からは、有限電気伝導度媒質の存在が生じる磁場の時間変化を明確に変化させることが示されている。すなわち、地震発生直後などの磁場変化を正確に求めるためには、電気伝導度の影響は無視できないといえる。そのため、点膨張源や矩形断層の一様変位などから生じる磁場変化の表現式を、電気伝導度媒質に対する結果に修正する必要がある。
しかし、単純な半無限媒質であっても、その表現式は複雑であり、点膨張源や矩形断層の一様変位に適用することは困難である。もしもこれを、全無限媒質で置き換えることが許されるならば、問題の対称性が高いために解析は著しく容易になる。応力磁気効果起源の電磁場変動の観測は通常地表付近で行われるから、無限媒質として計算した結果と半無限媒質として計算した結果が地表、すなわち媒質境界付近で十分な精度で一致していれば、置き換えが許される、といえる。
そこで本報告では、半無限媒質を無限媒質で置き換えることによって、結果にどの程度の違いが生じるのかを、解析解が比較的容易に得られる二次元問題を用いて論じる。なお、本講演申込み時点では2次元の結果しか得られていないが、3次元での結果が得られたら、これを合わせて報告する。