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[SEM37-07] パルス強磁場中の磁化過程高速測定システムとその岩石磁気への応用
キーワード:岩石磁気, パルス磁場, 磁気ヒステリシス
簡便に強磁場を発生できるパルス磁化器(pulse magnetizer)は、IRM着磁装置として広く岩石磁気研究に用いられている。いくつかの市販品があるが、それらの発生磁場の形状は、やや非対称な半周期正弦波形でその幅は10ms程度である。本研究では、このパルス継続時間中の岩石試料の磁化変化を高速かつ高精度に測定するための試作システムを開発した。いくつかの自然試料を測定した結果、これまでVSMやIRM測定では見られなかった新たな岩石磁気的知見を得ることができた。 本システムは、パルス磁化器としてIM-10-30 (ASC Scientific社製、2”コイル装着)を利用し、このコイル空間中に新開発の差動型コイルペア等を含む磁化検知コイルシステムを設置した。パルス磁場信号と試料による誘導磁場信号は、パルス磁場をトリガーとして高速デジタルオシロスコープ(Agilent MSO9104 2GHz)に記録し、Windows PCに取り込んで信号処理・解析を行った。校正は、常磁性塩(酸化ガドリニウム)とニッケル粉末を用いた。自然試料として、伊豆大島や桜島の火山岩、一部の古土壌や火山灰などを測定した。弱磁化試料では、単発の測定結果にノイズが目立つが、複数回の繰り返し測定結果の重ね合わせによってS/N比の向上を図ることができる。1回の測定・解析が数秒程度で完了することが、本システムの最大のメリットである。一部の火山岩からは、VSMによる磁化曲線(ヒステリシス)では見られない、ごく短時間(< 1 ms)の磁化変化が観測された。これら時間領域の測定結果を、交流磁化率による周波数領域での測定結果と比較・対照することにより、磁性粒子のサイズや磁区構造を特定するための新たな岩石磁気学的手法を提案する。