日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD21_28AM2] 測地学一般

2014年4月28日(月) 11:00 〜 12:45 413 (4F)

コンビーナ:*高島 和宏(国土交通省国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)、座長:落 唯史(独立行政法人産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)、大市 一芳(海上保安庁海洋情報部)

12:30 〜 12:45

[SGD21-14] 丸い地球の準静的内部変形-きわめて高い次数での漸近展開

*大久保 修平1高木 悠1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:内部弾性変形, グリーン関数, SNREIモデル, 漸近展開

[1] はじめに 点荷重や点震源によって生じる変形(グリーン関数)は、測地学的にも地震学的にも重要な役割を果たしてきた。例えば、球対称地球の表面に置かれた点荷重で生じる「地表」変形(Farrell,1972)は、地殻変動連続観測や重力観測において、海洋潮汐荷重の補正などに活用されている。また点震源によって生じる、球対称地球の「表面」変形グリーン関数(Sun and Okubo 1992)は、巨大地震にともなう地殻変動や重力場変動の解析に活躍している。これらの表面変形に対するグリーン関数を計算するには、球面調和関数展開の次数nが∞に近づくときの、「表面」でのスフェロイダル及びトロイダル変形(ラブ数)が必要となり、それについてはOkubo (1988)によって与えられている。 一方、表面での変形だけではなく、地球内部に生じる応力や歪を計算するには、地球内部の変位、応力、ポテンシャルの球面調和展開係数(いわゆるy関数)をきわめて高い次数(次数n>数千~数万)で求める必要がある。[2] 手法自己重力を考えた均質球の変形に対しては、変形場を球面調和関数展開を用いて、スフェロイダル場とトロイダル場に分けて議論することができる。それらの解は、Love (1911)が一般解を与えており、それはTakeuchi and Saito (1972)によってまとめられている。要点をいえば、動径距離rにおけるy関数の一般解は、球ベッセル関数[ jn(kn r), nn(kn r)]とべき級数[rn, r-(n+1)]とを用いた形で表示できる。第1種及び第2種ベッセル関数の引数kn rは、次数nに概ね比例して大きくなる量であり、ここに漸近展開を施して、適当な境界条件を課せば解くことができる。地表で収束する解としては(潮汐変形解、荷重変形解、シアー変形解)があり(Saito 1974)、それぞれに対して応力、ポテンシャルの条件が定まっている。一方、これと同じ境界条件を満たしつつも、地球中心に向かって発散するような第2種解もある。第2種解は、点震源で生じる地球内部変形を求めるときに必要となるので、無視することはできない。[3] 結果以上の手順にもとづいて、Okubo (1988)の理論を一部手直しして、スフェロイダル変形の一般解6種、トロイダル変形の一般解2種を導くことができた。講演では、さらにこれらの解の応用範囲について議論する予定である。