日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS24_1PM1] 地震活動

2014年5月1日(木) 14:15 〜 16:00 315 (3F)

コンビーナ:*伊藤 喜宏(京都大学防災研究所)、座長:伊藤 喜宏(京都大学防災研究所)

15:45 〜 16:00

[SSS24-P01_PG] 日本列島内陸および震源域における東北地方太平洋沖地震後の地震活動の変化

ポスター講演3分口頭発表枠

魚落 昭子1、*久家 慶子1 (1.京都大学大学院理学研究科)

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、日本観測史上最大のM9.0であった。この地震直後には震源域のみならず日本列島でも地震活動の変化が報告された(Toda et al., 2011;Kato and Igarashi, 2012など)。東北地方太平洋沖地震発生から3年が経過し、本研究では、震源域および日本列島内陸を含んだ広域を対象に、本震から2年半後までの地震活動の変化について系統的に調査した。

本研究では、緯度33.4~41°経度136~145°の調査領域を緯度経度0.2°幅の小領域に分割し、各々の小領域内において、東北地方太平洋沖地震発生前9年間での1年あたりの地震発生頻度に対する、東北地方太平洋沖地震発生から1年間、および発生1年半後から1年間の地震発生頻度の比を算出した。これらの比の比較と空間分布から、地震活動の変化を検出した。震源データには気象庁一元化震源を用いた。東北地方太平洋沖地震前に大きな内陸地震が発生した場所については、顕著な余震期間を除いて地震発生頻度を計算した。また、これに平行して、東北地方太平洋沖地震の震源域については、F-netのCMTカタログからプレート境界地震と思われる震源データを選び出して同様の手法を適用した。

算出した地震発生頻度比の結果から、東北地方太平洋沖地震震源域のプレート境界地震については、東北地方太平洋沖地震から2年半後には、岩手県沖をのぞく震源域全域が本震以前の地震活動より低下していることが明らかになった。日本列島内陸に関しては、本震からの1年間、磐梯山、日光白根山、草津白根山、苗場山、富士山の活火山周辺や、いわき、秋田県北部・中部、関東地方南部で顕著に活発な地震活動が検出された。2年半後には、日本列島内陸の広い範囲で、本震前よりも地震発生頻度が低くなり、磐梯山、苗場山、富士山周辺の地震活動も低下した。一方、秋田県北部・中部、関東地方南部やいわき、日光白根山、草津白根山周辺では、2年半後も依然として活発な地震活動が検出された。

本研究で検出された地震発生頻度比が顕著な地域を対象にして各々の地震活動を丁寧に調べると、日本列島内陸のその多くで、東北地方太平洋沖地震前後で地震発生場所やメカニズムに変化があったことが確認できた。更に、顕著な地震発生頻度比をもつ地域の東北地方太平洋沖地震後の地震活動に改良大森公式の適用を試みたところ(気象庁一元化震源を使用)、東北地方太平洋沖地震震源域から離れた日本列島内陸でも多くの地域でおおよそ改良大森公式に従うようにみられ、地震発生頻度が本震2年半後まで高い領域でp=0.2~1.1、本震1年後まで高かった地震発生頻度が2年半後には低下した領域でp=0.8~1.1となった。特に関東地方南部では、p値が0.2となり、他の地域と比較してかなり小さく、地震活動が比較的ゆっくり減少しているといえる。また、活火山の周辺では、地震発生頻度変化の違いに関わらず、比較的大きなp値となる。一方、東北地方太平洋沖地震の震源域では、震源域全域、余効すべり域、および余効すべり域外の領域でp値はいずれも1.0~1.1となり、余震の減衰の仕方に大きな違いが見られなかった。