18:15 〜 19:30
[SSS33-P05] 2014年房総半島沖のスロースリップ
キーワード:房総半島, スロースリップ
はじめに
房総半島では1996年、2002年、2007年、2011年にスロースリップイベント(房総半島SSE)が発生している。過去4回とも10日間程度で収まっている。また滑り領域もほぼ同じような場所で発生しており、固有地震的なふるまいが見受けられていた。房総半島SSEの発生間隔は、1996年から、6.4年、4.9年、4.2年と次第に短くなっていた。そのような中、2011年の房総半島SSEから2.2年程経過した2014年1月1日から、房総半島SSEが発生した。本研究では、2014年のスロースリップの滑り過程を時間依存のインバージョンで推定し、過去のスロースリップとの比較を行った。
データと解析手法
GPS観測によって非定常変動が2014年1月1日頃から捉えられている。捉えられた非定常変動を明瞭にするために、2009-2011年の定常的な変動を地殻変動データから取り除き解析に使用した。この結果、房総半島中・南部の領域で南南東を向く非定常変動が検出された。最大の地殻変動は、1cm程となっている。この非定常変動は、房総半島SSEのプレート境界面上の滑りによるものと考えられる。
上記の非定常変動のデータから、時間依存のインバージョンで房総半島SSEの滑り過程を推定した.データは、房総半島地域の40点程の観測点の東西、南北、上下変動量を使用した。固定点は八郷を採用した。フィリピン海プレートの上面の形状は、Nakajima& Hasegawa [2006]を使用している。断層領域は、3次のB-スプライン関数の重ね合わせで表現し、断層面の滑り量は、やはりB-スプライン関数の重ね合わせて表わされている。トレンド成分と周期成分を元の時系列データから除き解析に使用している。断層面の境界部では滑りが0という条件を採用した。
インバージョンの結果は、2014年の房総半島SSEでは、房総半島沖合で滑りが発生し、時間と共に、滑り領域が南に広がっていることが推定された.推定されたモーメントマグニチュードは2014年1月10日時点で、6.4に達している。また、過去の房総半島SSEの推定モーメントマグニチュードは1996年で6.4、2002年で6.5、2007年で6.5、 2011年で.6.6と推定されている。5つの房総半島SSEでは、ほぼ同じような領域で同じような規模で、似通った滑り過程が推定された。房総半島SSEの再来間隔は、1996-2002年で6.4年、2002-2007年で4.9年、2007-2011年で4.3年、2011-2014年で2.2年となっている。この5回のSSEからは、滑り予測可能でも、時間間隔の予測可能でもないように思われる。2014年の房総半島SSEは、前回からの再来間隔がもっとも短い。これは、東北地方太平洋沖地震の影響が関連している可能性がある。実際東北地方太平洋沖地震によって、房総半島の付近では若干?CFFが大きくなっている。しかしながら、東北地方太平洋沖地震の?CFFは2011年の房総SSEと2014年房総SSEではあまり大きさに変化がない。したがって、なぜ2014年房総SSEが前回から2.2年という短い時間で発生したのか明瞭でない。もう1つの解釈としては、いくつかのシミュレーション計算で、大地震の発生が近づくと、SSEの発生間隔が短くなるという結果が報告されている。1996年からの房総SSEの発生間隔の短縮は、このようなシミュレーションの想定を反映しているのかもしれない。この場合、対象となる大地震は、相模トラフ沿いの地震と思われる。従って、今後房総半島付近の地殻変動の様子を詳細に監視していく必要があるように思われる。
房総半島では1996年、2002年、2007年、2011年にスロースリップイベント(房総半島SSE)が発生している。過去4回とも10日間程度で収まっている。また滑り領域もほぼ同じような場所で発生しており、固有地震的なふるまいが見受けられていた。房総半島SSEの発生間隔は、1996年から、6.4年、4.9年、4.2年と次第に短くなっていた。そのような中、2011年の房総半島SSEから2.2年程経過した2014年1月1日から、房総半島SSEが発生した。本研究では、2014年のスロースリップの滑り過程を時間依存のインバージョンで推定し、過去のスロースリップとの比較を行った。
データと解析手法
GPS観測によって非定常変動が2014年1月1日頃から捉えられている。捉えられた非定常変動を明瞭にするために、2009-2011年の定常的な変動を地殻変動データから取り除き解析に使用した。この結果、房総半島中・南部の領域で南南東を向く非定常変動が検出された。最大の地殻変動は、1cm程となっている。この非定常変動は、房総半島SSEのプレート境界面上の滑りによるものと考えられる。
上記の非定常変動のデータから、時間依存のインバージョンで房総半島SSEの滑り過程を推定した.データは、房総半島地域の40点程の観測点の東西、南北、上下変動量を使用した。固定点は八郷を採用した。フィリピン海プレートの上面の形状は、Nakajima& Hasegawa [2006]を使用している。断層領域は、3次のB-スプライン関数の重ね合わせで表現し、断層面の滑り量は、やはりB-スプライン関数の重ね合わせて表わされている。トレンド成分と周期成分を元の時系列データから除き解析に使用している。断層面の境界部では滑りが0という条件を採用した。
インバージョンの結果は、2014年の房総半島SSEでは、房総半島沖合で滑りが発生し、時間と共に、滑り領域が南に広がっていることが推定された.推定されたモーメントマグニチュードは2014年1月10日時点で、6.4に達している。また、過去の房総半島SSEの推定モーメントマグニチュードは1996年で6.4、2002年で6.5、2007年で6.5、 2011年で.6.6と推定されている。5つの房総半島SSEでは、ほぼ同じような領域で同じような規模で、似通った滑り過程が推定された。房総半島SSEの再来間隔は、1996-2002年で6.4年、2002-2007年で4.9年、2007-2011年で4.3年、2011-2014年で2.2年となっている。この5回のSSEからは、滑り予測可能でも、時間間隔の予測可能でもないように思われる。2014年の房総半島SSEは、前回からの再来間隔がもっとも短い。これは、東北地方太平洋沖地震の影響が関連している可能性がある。実際東北地方太平洋沖地震によって、房総半島の付近では若干?CFFが大きくなっている。しかしながら、東北地方太平洋沖地震の?CFFは2011年の房総SSEと2014年房総SSEではあまり大きさに変化がない。したがって、なぜ2014年房総SSEが前回から2.2年という短い時間で発生したのか明瞭でない。もう1つの解釈としては、いくつかのシミュレーション計算で、大地震の発生が近づくと、SSEの発生間隔が短くなるという結果が報告されている。1996年からの房総SSEの発生間隔の短縮は、このようなシミュレーションの想定を反映しているのかもしれない。この場合、対象となる大地震は、相模トラフ沿いの地震と思われる。従って、今後房総半島付近の地殻変動の様子を詳細に監視していく必要があるように思われる。