日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT59_29PO1] 合成開口レーダー

2014年4月29日(火) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、小林 知勝(国土交通省国土地理院)、宮城 洋介(防災科学技術研究所)

18:15 〜 19:30

[STT59-P12] 防災科研におけるInSAR解析ツールの開発(その3)

*小澤 拓1 (1.防災科学技術研究所)

キーワード:合成開口レーダー, 干渉法, 解析ソフトウェア

合成開口レーダー(SAR)は,有用な地殻変動検出ツールの一つとなった.最近では,無償で利用できるSAR解析ソフトウェア(たとえば,ROI_PAC, GMTSAR, Doris)が公開され,誰でもSAR解析を用いた地殻変動検出が可能となった.特に,一般的によく用いられる2パス差分SAR干渉法については,解析アルゴリズムがある程度まで成熟したことにより,誰がどのソフトウェアを用いて解析しても,ほぼ同じ結果を得られるようになった.一方,最近では,時系列解析などの高度SAR解析手法を用いて,より高精度な地殻変動検出が試みられている.しかし,その解析については,改良すべき課題が多く残されている.それらの改良に向けた研究開発を効率的に進めるためには,解析アルゴリズムを隅々まで理解できる解析ソフトウェアを用いる必要がある.そこで,防災科研においては,解析アルゴリズムの高度化に向けたInSAR解析ツールを開発することにした.
本解析ツールは,次のような一般的な解析手順を採用している.(1)SLCフォーマット変換およびパラメータファイル作成.(2)平行移動のみを考慮したSLCの大まかな位置合わせ.(3)アフィン変換係数の決定.(4)SLCのリサンプリング.(5)初期干渉画像の作成.(6)DEMに基づく散乱強度画像シミュレーションおよび地理座標系からレーダー座標系への変換テーブルの作成.(7)シミュレート散乱強度画像と観測強度画像とのマッチング.(8)変換テーブルの修正.(9)軌道縞および地形縞のシミュレーション.(10)差分SAR干渉画像の作成.(11)干渉画像フィルターの適用.(12)干渉画像等のジオコーディング.
日本地球惑星科学連合2013年大会においては,SAR干渉法の適用条件の良いデータペアについて,開発したInSAR解析ツールによる解析結果を紹介し,GAMMA SARプロセッサによる解析結果とおおよそ同じ結果が得られることを示した.日本測地学会第120回講演会においては, Gatelli et al. (1994)のフィルターによる干渉性の向上,高速化,Skew画像への対応について述べた.その後,本ツールはオーバーサンプリングおよびバンドパスフィルターによるALOS/PALSARのFBS-FBD画像間の干渉処理に対応した.また,オーバーサンプリング法もしくは双3次スプライン補間によるDEMのリサンプリングにも対応した.さらに,現時点においては,画像マッチングの高精度化を試みている.これらの対応により,本解析ツールの2パス差分SAR干渉法の基礎的な部分の開発はひとまず終了とする.今後は,さらなる高精度化や,地形視差の補正,SAR画像シミュレーションの高精度化,複数軌道SBAS,SBAS等の機能を追加していく予定である.また,マニュアルの整備も進める予定である.