日本地球惑星科学連合2015年大会

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口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS21] 大気化学

2015年5月28日(木) 14:15 〜 16:00 201B (2F)

コンビーナ:*澤 庸介(気象研究所海洋・地球化学研究部)、竹川 暢之(首都大学東京 大学院理工学研究科)、金谷 有剛(独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域)、高橋 けんし(京都大学生存圏研究所)、谷本 浩志(国立環境研究所)、座長:佐藤 圭(独立行政法人国立環境研究所地域環境研究センター広域大気環境研究室)

15:15 〜 15:30

[AAS21-24] イソプレン/NO光酸化からのテトロール生成に対する相対湿度の効果

*佐藤 圭1奥村 智憲2高見 昭憲1今村 隆史1 (1.国立環境研究所、2.京都大学)

キーワード:植物起源揮発性有機化合物, 二次有機エアロゾル, 有機硝酸塩, 水溶液相反応, 環境チャンバー

イソプレンからの二次有機エアロゾルの分子マーカーである2-メチルテトロールは、イソプレン/NOx光酸化反応における有機硝酸エステルの加水分解反応(Sato, 2008; Szmigielski et al., 2010; Jacobs et al., 2014)またはイソプレンエポキシジオールの粒子相酸化反応(Jacobs et al., 2014)によって生成する。 本研究では、イソプレン/NO光酸化反応からの2-メチルテトロール生成に対する相対湿度、酸および塩基の効果について調べた。6 m3のテフロンバッグおよび6 m3のステンレスチャンバーを用いて、それぞれ加湿および乾燥条件の実験を行った。加湿条件(RH ≃ 80%)での2-メチルテトロール生成は亜硫酸ガスの存在下でもアンモニアの存在下でも増加した。対照的に、乾燥条件(RH < 1%)での2-メチルテトロール生成は、亜硫酸ガスの存在下であまり増加しないか抑制された。全有機エアロゾル濃度に対する全2-メチルテトロール濃度の比は、本研究の様々な条件の下で0.21~18 wt%であった。エアロゾル試料の水溶液からの2-メチルテトロール生成についても調べたところ、酸と塩基の両方によって生成が促進されることが分かった。本研究の結果は、イソプレン/NO光酸化からの2-メチルテトロール生成には、水の存在が重要な意味を持つことを示している。塩基によって生成が促進されたことから、エステルの加水分解が主要な2-メチルテトロールの生成経路と考えられる。
本研究は日本学術振興会の科学研究費補助金(No. 25340021, FY2013–2015)によって支援された。ガスクロマトグラフ質量分析計を提供して下さった京都大学の東野進教授に感謝の意を表します。

参考文献: Sato, K. (2008) Atmos. Environ. 42, 6851–6861. Szmigielski, R. et al. (2010) Atmos. Res. 98, 183–189. Jacobs, M. I. et al. (2014) Atmos. Chem. Phys. 14, 8933–8946.