10:40 〜 10:45
[SCG56-06] 総合討論
日本における原子力発電所の在り方について,地球科学的見地からの議論を行う場をオープンにかつ継続的に設けることは,地球科学と社会とのかかわりを考える上で必要な作業であると考え,2013年よりセッションを開催している.地震・火山大国日本における原子力発電所の安全確保には,地震・火山噴火現象の理解とそれに基づく災害の予測が必須である.しかしその理解はきわめて限定的であり,結果として理学的知見に基づく予測,特に低頻度巨大災害の予測には,大きな不確定性という限界が存在する.一方,原子力発電所を設計するためには,何らかの基準を定める工学的要請があり,基準の設定に際しては,大きな不確定性を持つ災害予測を何らかの形で取り込まざるを得ないという困難な状況がある.原子力発電所の立地や再稼働と無関係ではありえない私達日本の地球科学者は,この困難な状況をどう考えれば良いのだろうか? 火山噴火や地震発生の予測に関わる研究者,地震工学の研究者等による招待講演および一般講演をふまえ,この問題を考える契機としたい.