日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT54] 合成開口レーダー

2015年5月24日(日) 16:15 〜 18:00 201A (2F)

コンビーナ:*山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、小林 知勝(国土交通省国土地理院)、宮城 洋介(防災科学技術研究所)、座長:宮城 洋介(防災科学技術研究所)、磯口 治(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)

16:15 〜 16:30

[STT54-01] ALOS-2データを使用したSAR干渉解析による日本全国地盤変動監視(序報)

*森下 遊1山田 晋也1 (1.国土地理院)

キーワード:干渉SAR, だいち2号, 地盤変動, 地盤沈下, 地すべり, 火山

国土地理院では、2006年から2011年に運用されたALOSのSARデータを使用して、日本国内計66の火山、地盤沈下、地すべり地域を対象に定常的にSAR干渉解析を実施し、地盤変動を監視していた。しかし、ALOSが2011年5月に運用を終了したため、定常解析の中断を余儀なくされていた。
 ALOSの後継機であるALOS-2は2014年5月24日に打ち上げられ、同年8月4日から基本観測を開始し、同年11月25日からデータの定常配布が開始された。国土地理院は、ALOS-2のSARデータを使用してSAR干渉解析を実施し、地盤変動監視を再開させる予定である。ALOS-2では、ALOSの時代よりも発展させ、特定の地域に限定せず、日本全国を対象に網羅的に解析を実施する予定である。また、繰り返し観測が実施される観測モードのデータを、基本的には全て解析する予定である。このような発展的な定常解析は、ALOS-2の基線長が常に短く維持されることや解析システムの性能が向上したこと等により実現可能となった。
 解析結果は、国土地理院が提供するウェブ地図である「地理院地図」の地理空間情報ライブラリーの一つとして登録され、地理院地図で閲覧できる形式で公開する。背景地図や他の地理空間情報と重ね合わせて表示することで、解析結果の解釈や変動の位置の把握が容易になり、利用促進が見込まれる。解析結果の解説も付加する予定である。
 ALOS-2の基本観測シナリオにおいて、基本観測開始後約1年間は、様々な観測モード及び角度による災害用ベースマップ観測が予定されており、2回以上の観測が必要であるSAR干渉解析はあまり実施できない。本格的に定常解析が実施できるようになるのは2015年8月頃からとなる予定である。
 本発表では、限定的ではあるが広域観測モードのデータを使用して実施した最初のSAR干渉解析の結果及び今後の定常解析の予定を報告する。