17:15 〜 17:30
[HSC24-05] リアルタイム降雨情報に対応した浸水予測手法の検討
キーワード:浸水予測, 気象警報, ハザードマップ, 避難判断
1.はじめに
大雨時に浸水被害から身を守るためには,雨量などの気象情報を自ら取得し,的確な判断の下,避難や屋内待避といった防災行動をとることが求められている.気象情報としては,気象警報(特別警報を含む),記録的短時間大雨情報,土砂災害警戒情報,全般気象情報等が挙げられるが,これらはあくまで誘因(降雨量)に関する情報であり,浸水深などの被害の程度を予測した情報とはなっていない.
洪水からの避難等の防災対応の基本資料として洪水ハザードマップ(浸水予測図)があるが,従来型の浸水予測図では想定外力のシナリオが限定されているケースが多い.また,一つの地域において内水氾濫と外水氾濫の危険性がある場合,それぞれで浸水予測図が作成されるケースが多いが,浸水予測で想定されている降雨量と実際の降雨量を一目で比較する方法がなく,現在進行中の大雨が浸水予測図で示された被害になり得るのか,あるいはそれを上回るのかを判断する材料がないのが現状である.
そこで,本研究では,複数の降雨シナリオにもとづいた浸水予測図を作成する.そして,実際の大雨時に得られる降雨量情報や気象情報と連動させ,一般市民が気象情報から容易に浸水状況が想起できる浸水予測図の開発を試みる.
2.手法
本手法は,(1) 降雨シナリオの設定,(2)浸水予測計算の実施,(3)各降雨シナリオで発表が想定される気象情報のカテゴリー化,(4)気象情報・降雨量別の浸水予測図の作成,という4段階からなる.
降雨シナリオの策定では,降雨継続時間を複数(1,2,3,6,12,24,48時間)設定し,降雨量は生起確率を基準として複数(1/30,1/50,1/100,1/200)設定する.従来の浸水予測図作成では,流域内で一様な降雨分布を仮定することが多い.しかし,短時間強雨(いわゆるゲリラ豪雨)の場合は局所的な降雨となる.降雨強度(Depth)-面積(Area)-継続時間(Duration)のDAD関係を考慮すると,短時間強雨では同じ生起確率でも広域での降雨に比べて局所的な降雨では降雨強度が大きくなる傾向にあることが報告されている.したがって,本手法では,降雨面積についても複数設定することとし,5km×5kmのメッシュを一単位として,10km×10km,15km×15km・・・と順次降雨面積を増やしたパターンも設定し,流域全体をカバーする降雨面積を上限とした.
浸水予測計算では,土木研究所で開発された降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)を使用する.RRIモデルでは,山地流出・河道追跡と氾濫原解析を一体的に解析することができるため,河川からの外水氾濫や当該地域での内水氾濫を同一のモデルで評価することができる利点がある.これにより,複数の降雨シナリオにもとづく浸水予測結果(内水・外水)を統一的に比較することができる.
次いで,各降雨シナリオについて,発表が想定される気象情報(大雨注意報・警報・特別警報,記録的短時間大雨情報)をカテゴリー化する.カテゴリー化された気象情報別に各小地域において浸水危険度が高い降雨シナリオを抽出する.これらを整理することで,当該地域において浸水の危険性が出てくる,すなわち避難が必要となる気象情報や降雨量の目安を示すことができるようになると考える.
本発表では,淀川水系桂川の流域を対象としたケーススタディの結果を報告する.
大雨時に浸水被害から身を守るためには,雨量などの気象情報を自ら取得し,的確な判断の下,避難や屋内待避といった防災行動をとることが求められている.気象情報としては,気象警報(特別警報を含む),記録的短時間大雨情報,土砂災害警戒情報,全般気象情報等が挙げられるが,これらはあくまで誘因(降雨量)に関する情報であり,浸水深などの被害の程度を予測した情報とはなっていない.
洪水からの避難等の防災対応の基本資料として洪水ハザードマップ(浸水予測図)があるが,従来型の浸水予測図では想定外力のシナリオが限定されているケースが多い.また,一つの地域において内水氾濫と外水氾濫の危険性がある場合,それぞれで浸水予測図が作成されるケースが多いが,浸水予測で想定されている降雨量と実際の降雨量を一目で比較する方法がなく,現在進行中の大雨が浸水予測図で示された被害になり得るのか,あるいはそれを上回るのかを判断する材料がないのが現状である.
そこで,本研究では,複数の降雨シナリオにもとづいた浸水予測図を作成する.そして,実際の大雨時に得られる降雨量情報や気象情報と連動させ,一般市民が気象情報から容易に浸水状況が想起できる浸水予測図の開発を試みる.
2.手法
本手法は,(1) 降雨シナリオの設定,(2)浸水予測計算の実施,(3)各降雨シナリオで発表が想定される気象情報のカテゴリー化,(4)気象情報・降雨量別の浸水予測図の作成,という4段階からなる.
降雨シナリオの策定では,降雨継続時間を複数(1,2,3,6,12,24,48時間)設定し,降雨量は生起確率を基準として複数(1/30,1/50,1/100,1/200)設定する.従来の浸水予測図作成では,流域内で一様な降雨分布を仮定することが多い.しかし,短時間強雨(いわゆるゲリラ豪雨)の場合は局所的な降雨となる.降雨強度(Depth)-面積(Area)-継続時間(Duration)のDAD関係を考慮すると,短時間強雨では同じ生起確率でも広域での降雨に比べて局所的な降雨では降雨強度が大きくなる傾向にあることが報告されている.したがって,本手法では,降雨面積についても複数設定することとし,5km×5kmのメッシュを一単位として,10km×10km,15km×15km・・・と順次降雨面積を増やしたパターンも設定し,流域全体をカバーする降雨面積を上限とした.
浸水予測計算では,土木研究所で開発された降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)を使用する.RRIモデルでは,山地流出・河道追跡と氾濫原解析を一体的に解析することができるため,河川からの外水氾濫や当該地域での内水氾濫を同一のモデルで評価することができる利点がある.これにより,複数の降雨シナリオにもとづく浸水予測結果(内水・外水)を統一的に比較することができる.
次いで,各降雨シナリオについて,発表が想定される気象情報(大雨注意報・警報・特別警報,記録的短時間大雨情報)をカテゴリー化する.カテゴリー化された気象情報別に各小地域において浸水危険度が高い降雨シナリオを抽出する.これらを整理することで,当該地域において浸水の危険性が出てくる,すなわち避難が必要となる気象情報や降雨量の目安を示すことができるようになると考える.
本発表では,淀川水系桂川の流域を対象としたケーススタディの結果を報告する.