日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC24] 人間環境と災害リスク

2015年5月24日(日) 16:15 〜 18:00 101B (1F)

コンビーナ:*青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、鈴木 康弘(名古屋大学)、小荒井 衛(国土交通大学校測量部)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、宇根 寛(国土地理院)、中村 洋一(宇都宮大学教育学部地学教室)、松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻)、後藤 真太郎(立正大学地球環境科学部環境システム学科)、原 慶太郎(東京情報大学総合情報学部)、座長:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)

16:30 〜 16:45

[HSC24-02] 災害特性と景観特性から見た地域特性区分の統合

*小荒井 衛1いえ 京禄2中埜 貴元3水内 佑輔2 (1.国土交通大学校、2.千葉大学、3.国土地理院)

キーワード:地域特性区分, 災害特性, 景観特性

国土のグランドデザインを考える上で、同質の自然的・文化的特性を持ったエリアを特定し、そのエリアの特性を損なわないマネジメントを住民・地権者・行政などの組織連携で行うことが重要である。筆者らは、このようなマネジメントを可能にする空間的範囲を特定する手法について研究を行っている。
小荒井ほか(2013)は災害特性をベースにエリア区分するため、地形、地質データを用いた結果、関東甲信越地方を92のエリアに区分し、15種類にカテゴリー化した。一方、?ほか(2013)は、ランドスケープの自然・人文的特性をベースにエリア区分するため、地形と土地利用・植生データを用いた結果、関東甲信越地方を14種類のランドスケープタイプを持つ111のエリアに区分した。本研究は、関東甲信越地域での両方の区分を国土マネジメントの視点で再考し、一つに統合することを試みたものである。
両者のエリア区分は第1指標が地形と同一であったため、共通点が多い。特に低地、台地、丘陵地、火山地は、共通するエリアが多い。また、低地の地質は完新統に、台地の地質は更新統に、丘陵地の地質は新第三系と更新統に、火山地の地質は火山岩類に限定される。よって、山地においてのみ様々な地質が出現するので、植生と地質指標が複雑に絡み合ってくる。新たに考慮した要素としては、法的指定エリアと面積基準がある。法的枠組みで保全・管理の基準が定められたエリアの意味は大きく、できるだけ一つのエリアに統合することにした。考慮した指定エリアは、国立公園、国定公園、県立自然公園、原生自然環境保全地域、鳥獣保護区、重要文化的景観、ラムサール条約湿地、世界遺産等である。面積基準は、国単位で考慮すべきエリア基準として1単位が100k㎡以上2,000k㎡以内であることを望ましいものと想定した。また、同じ地形・地質特性の地域区分であっても、標高の高い山頂付近は自然植生が卓越し、標高の低い山麓部は代償植生や植林が卓越するなど、地形・地質を基に区分した上で自然植生の卓越した箇所をサブエリアとして区分した方が良い様な地域も現れる。
本発表は、2014年3月に日本地理学会災害対応委員会主催のシンポジウムとして開催した「レジリエントな国土・地域社会の構築に向けた地理学的課題」で議論した内容に、11月の地理情報システム学会で企画セッションとして開催した「適切な国土・環境計画のための地理空間情報を活用した地域特性区分のあり方」での議論も踏まえ、筆者らがとりまとめ直したものである。