17:33 〜 17:36
[SVC45-P23] スタッキング法を用いたGNSSデータによる2014年御嶽山噴火前後の地殻変動検出
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:御嶽山, スタッキング, 噴火, 地殻変動, GNSS
2014年9月27日に御嶽山で噴火が発生した。この噴火に先立って、9月19日頃に一時的に地震活動が活発化したものの、その後は噴火直前まで顕著な活動は見られなかった。また地殻変動観測においても、噴火7分前頃から傾斜計に変化が見られた他は顕著な変化は見られていなかった。その後、気象庁が10月中旬頃までのGNSSデータを解析し、9月上旬以降、わずかな伸びの変化があることがわかった(気象庁, 2014)。また国土地理院も精密暦による解析で、御嶽山を跨ぐ基線に9月上旬頃からのわずかな伸びと噴火以降のわずかな縮みの傾向が見られたことを報告している(国土地理院, 2014)。
本研究では、気象庁が東海地震監視のために用いている、ひずみ計データのSN比を向上させる手法(スタッキング法:宮岡・橫田, 2012)をGNSSデータに適用し、御嶽山噴火前後の地殻変動の抽出を試みた。
スタッキング法では複数の観測点で時系列変化を足し合わせることでSN比を向上させる手法である。この場合、スロースリップイベントなどのようなプレート境界すべりによる各観測点でのひずみ変化には伸びと縮みがあることから、それらの変化の極性が同一となるよう必要な観測点のデータについてはその極性を反転させ、スタッキングを行っている。このことにより、各データに含まれるノイズ成分は打ち消し合う一方でシグナル成分は加算され、結果としてSN比が向上することになる。
この手法を御嶽山周辺のGNSSデータに適用するにあたり、1次モデルとして山頂直下に茂木ソースの膨張源を仮定した。この場合、山頂を跨ぐ2地点間の基線長は全て伸びの変化となることから、複数の基線長データをそのままスタッキングした。その際、異なる深さのソースの検出を念頭に、地下の比較的浅部を対象とした山頂周辺の数km程度の基線の組み合わせ(短基線)、深部を対象とした40km程度の基線の組み合わせ(長基線)を適用した。
これらを用いた解析の結果、短基線のデータに8月中下旬以降のわずかな伸びの変化と、噴火後の緩やかな縮みの変化が検出された。また長基線でもわずかな変化が見られるがノイズレベルを超えるような大きさではなかった。一方、同じ組み合わせで2007年3月下旬(推定)の噴火の際のデータを解析したところ、短基線のデータに2006年12月から翌3月頃にかけて今回と同程度もしくはやや大きな伸びの変化が見られた。また長基線でも2006年12月から明瞭な伸びの変化が見られたが、こちらは翌1月にはほぼ停止していた。
短基線、長基線はそれぞれ深部と浅部でのマグマもしくは流体の挙動を示していると考えられ、その深部と浅部で異なる挙動が見られ、また2007年と2014年の噴火の際でも異なった様式の活動があったことが推測される。
本研究では、気象庁が東海地震監視のために用いている、ひずみ計データのSN比を向上させる手法(スタッキング法:宮岡・橫田, 2012)をGNSSデータに適用し、御嶽山噴火前後の地殻変動の抽出を試みた。
スタッキング法では複数の観測点で時系列変化を足し合わせることでSN比を向上させる手法である。この場合、スロースリップイベントなどのようなプレート境界すべりによる各観測点でのひずみ変化には伸びと縮みがあることから、それらの変化の極性が同一となるよう必要な観測点のデータについてはその極性を反転させ、スタッキングを行っている。このことにより、各データに含まれるノイズ成分は打ち消し合う一方でシグナル成分は加算され、結果としてSN比が向上することになる。
この手法を御嶽山周辺のGNSSデータに適用するにあたり、1次モデルとして山頂直下に茂木ソースの膨張源を仮定した。この場合、山頂を跨ぐ2地点間の基線長は全て伸びの変化となることから、複数の基線長データをそのままスタッキングした。その際、異なる深さのソースの検出を念頭に、地下の比較的浅部を対象とした山頂周辺の数km程度の基線の組み合わせ(短基線)、深部を対象とした40km程度の基線の組み合わせ(長基線)を適用した。
これらを用いた解析の結果、短基線のデータに8月中下旬以降のわずかな伸びの変化と、噴火後の緩やかな縮みの変化が検出された。また長基線でもわずかな変化が見られるがノイズレベルを超えるような大きさではなかった。一方、同じ組み合わせで2007年3月下旬(推定)の噴火の際のデータを解析したところ、短基線のデータに2006年12月から翌3月頃にかけて今回と同程度もしくはやや大きな伸びの変化が見られた。また長基線でも2006年12月から明瞭な伸びの変化が見られたが、こちらは翌1月にはほぼ停止していた。
短基線、長基線はそれぞれ深部と浅部でのマグマもしくは流体の挙動を示していると考えられ、その深部と浅部で異なる挙動が見られ、また2007年と2014年の噴火の際でも異なった様式の活動があったことが推測される。