日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

2015年5月27日(水) 16:15 〜 18:00 304 (3F)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)、座長:森 俊哉(東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設)、寺田 暁彦(東京工業大学火山流体研究センター)

17:54 〜 17:57

[SVC45-P40] GPSキャンペーン観測によるマヨン火山の地殻変動 2005-2015年

ポスター講演3分口頭発表枠

*高木 朗充1藤原 健治2大倉 敬宏3C. Luis Jr Artemio4V. Baloloy Alejo4安藤 忍1Eduardo Laguerta4V. Bornas Ma. Antonia4 (1.気象研究所、2.気象庁、3.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター、4.フィリピン火山地震研究所)

キーワード:マヨン火山, GPS, 地殻変動, 圧力源, マグマ

フィリピンのマヨン火山では,これまでGPSや重力観測等の測地観測が行われている(たとえば,Jentzsch et al., 2001).しかし,GPS観測では1993年マヨン噴火に伴う明瞭な変化を検知できていなかった.我々はフィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)と共同で,マグマ蓄積・放出に伴う圧力源の変動の検知を目的に,マヨン火山で2005年以降GPSキャンペーン観測網を展開し,2015年まで観測を継続した.その結果,2009年12月の噴火に伴う山体変動を観測した.一方,2013年の水蒸気噴火と2014年の溶岩ドーム形成時には山体変動は検知できなかった.

2005年以降,マヨン火山の山頂から山麓に向かって放射状に5つの測線を形成する約20点のベンチマークからなる1周波型のGPS受信機を用いたキャンペーン観測網を展開した.サンプリング時間30秒で,1~4日間のスタティック観測を行った.データ処理はBernese Ver. 5.0を用い,山頂北西側の点を基準点としてL1帯の1周波解析を2時間毎のエポックで行い,2時間毎の位置を平均化してキャンペーン観測毎の最終値とした.

多くの基線で2009年から2010年にかけて2~3cmの短縮傾向が見られた.2009年12月にマヨン火山は噴火し溶岩流を流している.火山体直下のマグマを大量に放出したことで,山体が収縮したものと推測する.そこで2009年8月~2010年2月の地盤変動を用い,茂木モデルを適用して,格子探索法2009年噴火に伴って収縮した圧力源の位置と体積変化量を見積もった.その結果,収縮圧力源の最適パラメータは山頂付近の海抜下8.5km,13×106m3の体積減少であった.

また2009年噴火以前の観測頻度は低いものの,いくつかの基線で伸長傾向のようにも見える.これは2009年噴火に備えたマグマ蓄積の過程を観測している可能性がある.
一方,2013年5月に7人の登山者が犠牲になった水蒸気噴火に伴う地殻変動は検知できていない.また2014年8月には山頂部で新たな溶岩ドームが出現する活動があった(PHIVOLCS, 2014)が,地殻変動は検知できなかった.マグマの供給及び放出量が小さかったためと考えられる.2009年噴火のような1×107m3のオーダーのマグマ移動がないと検知は困難と考えられる.

謝辞
PHIVOLCSの火山監視噴火予知課とマヨン火山観測所にはGPSのキャンペーン観測及び連続観測網の維持に対する多大な協力に感謝します.
本研究は,独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)の支援を受け、独立行政法人防災科学技術研究所が実施している地球規模課題対応型国際科学技術協力事業(SATREPS)による共同研究「フィリピン地震火山監視能力強化と防災情報の利活用推進」によりました.