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[ACG32-14] 火山噴火に伴う放射強制力がENSOに与える影響
キーワード:超巨大火山噴火, 海面水温, 太平洋, エルニーニョ・南方振動
熱帯域における突発的な強い火山活動(Strong Volcanic Eruption: SVE)によりもたらされる一時的な負の放射強制力は、全球規模で表層気温を低下させるとともに、大気・海洋循環場の変調を介して年々~10年規模の気候変動に影響すると考えられている。エルニーニョ・南方振動(ENSO)とSVEの関係に関する研究は、かなり限られたデータの中での推測に止まっていたものの、近年複合Proxyから復元された過去1000年及ぶ海面水温データから、SVE直後にEl Ninoが発生する確率が有意に高まることが示唆されている。このメカニズムに関して、先行研究では簡易大気海洋結合モデルを用いて、SVEに伴う空間一様なSSTの冷却が東太平洋による湧昇を弱めることによってEl Ninoが励起されることを示した(Dynamical Thermostat Mechanism)。しかしながら、最新の全球大気海洋結合モデルを用いた実験では、逆にLa Ninaが励起される場合もあり、急速な放射強制力の変化がどのようにEl Ninoを励起するかはまだよく分かっていない。また、ENSOの時間変化はEl NinoとLa Ninaで強い非対称性を持つため、ENSOの位相によってSVEの影響が変化することが考えられる。そこで本研究では、最新の大気海洋結合モデルを用いてSVEの強制・非強制実験を行い、SVEに伴う放射強制力がモデル内のENSOに与える影響を評価するとともに、そのENSOの位相に対する依存性を調べた。