日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT54] 合成開口レーダー

2015年5月24日(日) 16:15 〜 18:00 201A (2F)

コンビーナ:*山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、小林 知勝(国土交通省国土地理院)、宮城 洋介(防災科学技術研究所)、座長:宮城 洋介(防災科学技術研究所)、磯口 治(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)

17:00 〜 17:15

[STT54-04] 地殻変動観測のためのPALSAR-2画像干渉処理

*橋本 学1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:PALSAR-2, 地殻変動, SAR干渉法

ALOS-2/PALSAR-2は,2014年6月に初画像を取得して以来,順調に観測を続けている.観測開始以来,顕著な地震・火山活動が発生し,地殻変動が捉えられて来た.ここでは,主として2014年9月27日の御嶽山噴火,11月22日の長野県北部地震(Mjma6.7)および2015年2月6日の徳島県南部の地震(Mjma5.1)前後のデータを用いて,PALSAR-2画像の干渉性と精度,および観測された地殻変動について検討する.
 干渉処理には,防災科研小澤氏によるRINCとGammaRを用いた.また,DEMとして,Pixelで提供されたDigital Ellipsoidal ModelあるいはASTER-GDEM ver.2を用いた.解析に用いたPALSAR-2画像は,いずれもUBS(アジマス方向の解像度3m)である.
 御嶽山噴火に対しては,8月22日と10月3日,8月18日と10月13日のペアを用いた.いずれも北行軌道からの右方向の観測で,入射角はそれぞれ約36°と53°,垂直軌道間距離は約5mと24mである.山岳地域にかかわらず干渉性は高い.しかしながら,シーン内のGEONET観測局の変位から計算される視線方向変位と比較すると系統的な差が残る.この差の標準偏差は4?5cmと推定される.御岳山頂直下西側に視線距離短縮の変動が認められるが,広域の変動はなかった.噴火に伴う変動は,局所的なものであったと言える.
 長野県北部の地震については,10月2日と11月27日,9月19日と11月28日のペアを用いた.前者は南行軌道からの左観測,後者は北行軌道からの右観測である.入射角と軌道間距離は,それぞれ36°と6 m,40°と112 mである.干渉性は高いが,震源域周辺に干渉性の低下する領域が認められる.特に,地表地震断層の上盤側には線状の低コヒーレンス領域が認められ,地表付近に位相の不連続を生じていることを示している.上盤側にバックストップなどの副次的な断層の破壊が生じたことを示唆する.得られた干渉画像から,地表地震断層が認められる領域直下に南東南へ約50度で傾き下がる断層面で,深さ5km以浅の領域で,最大1.3m程度の逆断層すべりが発生したと推定される.
 徳島県南部の地震に際しては,2015年1月10日と2月7日,2014年11月18日と2015年2月10日の2ペアを解析したが,顕著な地表面変動は検出されなかった.