09:15 〜 09:30
[SIT36-02] 火山における弾性波アクロスの現状と展望
キーワード:火山, モニタリング, 地下構造, 時間変化, マグマ, 熱水
はじめに 火山において弾性波伝播特性(地震波速度や減衰構造)の時間変化はマグマ貫入、マグマの圧力変化、マグマの発泡状態等の化学変化、熱水やガスの移動、火山体内部の応力変化など火山活動を反映した様々な要因を推定するために重要な観測である。地震波干渉法やS波の異方性変化など自然界の震動を用いた手法は試みられているものの、高い分解能が期待できる人工的な震源を用いた方法による試みはまだ余り行われていない。
弾性波震源 弾性波アクロス震源としては、従来から回転型震源が主に用いられている。しかし既存の震源は大型のベアリングを用いていることから発熱が大きく、特別な冷却機構が必要となるなど問題点が多い。それらの問題点を解決した新型アクロス震源を開発した(山岡・他、日本地震学会2014年秋期大会)。この震源は小型ユニットを組み合わせた構造であり、小さい発生力から大きな発生力まで対応できる。それ以外にも散乱の影響を受けにくい低周波の震源として直線加振型も用いることができる(山岡・他、地球惑星科学連合2011年大会)。この震源は高調波ひずみ5%程度で正弦波加振を行う事ができ、回転型に比較して低周波まで発生力が一定であるという利点がある。新型アクロス震源は、例えば多チャンネルの地震計と組み合わせて連続的な反射法モニタリングの震源として用いることができる。また低周波の直線加振型震源はインバージョンを用いた地下構造のモニタリグに利用可能である(道下・他,地球惑星科学連合2009大会)。
また地下深部の変動源に接近して地震波伝播特性を測定するためには、ボアホール内で稼働する震源が必要となる。径に制限があるボアホール内では、回転型の震源は高周波向きである。それに対し低周波発生のためにはボアホールの軸方向の移動による震源が向いている(横井・他、日本地震学会2014秋期大会)。
桜島での試み 筆者達は、2012年から桜島火山において弾性波アクロス震源を用いた実験を進めている(Yamaoka et al., 2014, EPS)。桜島では、鉛直軸の廻りを偏心したおもりが回転して力を発生するタイプの震源を設置した。これは火山に初めて設置することから、実績のあるタイプを設置して安定して運転するノウハウを確立するという技樹的側面の目的からである。それでも夏期は停電を含む電圧変動によると思われるトラブルに悩まされる。現地での設置および稼働は、鹿児島大学の宮町教授の主導で実施し、名古屋大学が全面的に協力して行うという形で初めて実現した観測である。2012年からの連続的稼働のデータを解析し、爆発的噴火に関連すると考えられる変動も捉えられつつある(前田・他,日本火山学会2014年秋期大会)。
弾性波震源 弾性波アクロス震源としては、従来から回転型震源が主に用いられている。しかし既存の震源は大型のベアリングを用いていることから発熱が大きく、特別な冷却機構が必要となるなど問題点が多い。それらの問題点を解決した新型アクロス震源を開発した(山岡・他、日本地震学会2014年秋期大会)。この震源は小型ユニットを組み合わせた構造であり、小さい発生力から大きな発生力まで対応できる。それ以外にも散乱の影響を受けにくい低周波の震源として直線加振型も用いることができる(山岡・他、地球惑星科学連合2011年大会)。この震源は高調波ひずみ5%程度で正弦波加振を行う事ができ、回転型に比較して低周波まで発生力が一定であるという利点がある。新型アクロス震源は、例えば多チャンネルの地震計と組み合わせて連続的な反射法モニタリングの震源として用いることができる。また低周波の直線加振型震源はインバージョンを用いた地下構造のモニタリグに利用可能である(道下・他,地球惑星科学連合2009大会)。
また地下深部の変動源に接近して地震波伝播特性を測定するためには、ボアホール内で稼働する震源が必要となる。径に制限があるボアホール内では、回転型の震源は高周波向きである。それに対し低周波発生のためにはボアホールの軸方向の移動による震源が向いている(横井・他、日本地震学会2014秋期大会)。
桜島での試み 筆者達は、2012年から桜島火山において弾性波アクロス震源を用いた実験を進めている(Yamaoka et al., 2014, EPS)。桜島では、鉛直軸の廻りを偏心したおもりが回転して力を発生するタイプの震源を設置した。これは火山に初めて設置することから、実績のあるタイプを設置して安定して運転するノウハウを確立するという技樹的側面の目的からである。それでも夏期は停電を含む電圧変動によると思われるトラブルに悩まされる。現地での設置および稼働は、鹿児島大学の宮町教授の主導で実施し、名古屋大学が全面的に協力して行うという形で初めて実現した観測である。2012年からの連続的稼働のデータを解析し、爆発的噴火に関連すると考えられる変動も捉えられつつある(前田・他,日本火山学会2014年秋期大会)。