日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC24] 人間環境と災害リスク

2015年5月24日(日) 16:15 〜 18:00 101B (1F)

コンビーナ:*青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、鈴木 康弘(名古屋大学)、小荒井 衛(国土交通大学校測量部)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、宇根 寛(国土地理院)、中村 洋一(宇都宮大学教育学部地学教室)、松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻)、後藤 真太郎(立正大学地球環境科学部環境システム学科)、原 慶太郎(東京情報大学総合情報学部)、座長:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)

17:30 〜 17:33

[HSC24-P01] 1971年に福島県川内村で発生した表層崩壊の背景

ポスター講演3分口頭発表枠

*大丸 裕武1村上 亘1斉藤 仁2 (1.独立行政法人森林総合研究所、2.関東学院大学)

キーワード:表層崩壊, 自然災害, 伐採, 公有林

福島県東部の川内村では1971年の豪雨によって多数の表層崩壊が発生した。豪雨は8月31日と9月1日の二日間にわたり、川内村下川内では最大時間雨量56mm(31日19時)、総雨量は571mmに及んだ。災害直後に撮影された空中写真を見ると川内村の低起伏山地の斜面に多数の崩壊が発生していることがわかる。川内村の山地の大部分は花崗岩からなり、その多くは深層風化によるマサ化が進んでいる。崩壊の多くはマサ土に覆われた小起伏面を下刻する谷の谷壁斜面で発生した。この地域の1971年当時の植生は現在に比べると著しく貧弱であったと考えられる。過去の空中写真を用いて写真測量を行い1975年当時の植生高をすると、現在の植生高の半分以下の場所が多いことがわかる。川内村では明治45年に国有林が村に返還された後、外部からの移住者によって公有林の急速な伐採が進行したことがこれまでの研究で指摘されている。1971年の豪雨による崩壊の大量発生には花崗岩山地特有の脆弱性とともに、このような過去の過度な森林利用が影響を与えた可能性が指摘できる。