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[HSC24-P01] 1971年に福島県川内村で発生した表層崩壊の背景
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:表層崩壊, 自然災害, 伐採, 公有林
福島県東部の川内村では1971年の豪雨によって多数の表層崩壊が発生した。豪雨は8月31日と9月1日の二日間にわたり、川内村下川内では最大時間雨量56mm(31日19時)、総雨量は571mmに及んだ。災害直後に撮影された空中写真を見ると川内村の低起伏山地の斜面に多数の崩壊が発生していることがわかる。川内村の山地の大部分は花崗岩からなり、その多くは深層風化によるマサ化が進んでいる。崩壊の多くはマサ土に覆われた小起伏面を下刻する谷の谷壁斜面で発生した。この地域の1971年当時の植生は現在に比べると著しく貧弱であったと考えられる。過去の空中写真を用いて写真測量を行い1975年当時の植生高をすると、現在の植生高の半分以下の場所が多いことがわかる。川内村では明治45年に国有林が村に返還された後、外部からの移住者によって公有林の急速な伐採が進行したことがこれまでの研究で指摘されている。1971年の豪雨による崩壊の大量発生には花崗岩山地特有の脆弱性とともに、このような過去の過度な森林利用が影響を与えた可能性が指摘できる。