17:15 〜 18:30
[ACC21-P04] 過去21万6千年間の東南極における、気候に依存した質量収支のコントラスト
キーワード:南極、表面質量収支、氷床、アイスコア
東南極における過去の質量収支を記述することは、アイスコアの年代決定や、海水準の地球規模の変動における氷床の寄与分の見積もりにとって重要である。本研究では、南極ドームC(EDC)とドームふじ(DF)で得られた2箇所の氷床深層アイスコアを精密に火山同期し、且つ流動変形分を補正することにより、これらの2地点における表面質量収支の比率(SMB比)の過去の変動を調査した。
過去21万6千年間、このSMB比( SMBEDC/SMBDF として定義)は 0.7 ~ 1.1の範囲の値をとり、寒冷な時期には比較的小さく温暖な時期には大きな値を示した。本研究の結果は、EDCにおいて、DFよりも大きな振幅の変動が起こったことを意味している。そしてその結果は、水の安定同位体から見積もってきた質量収支や気温の傾向と一貫している。最終氷期の開始時期 (Marine Isotope Stages, MIS-5c と MIS-5d) において、精密火山同期に基づいたSMB比は、水の安定同位体比をもとにして見積もったSMB比とくらべて、 最大0.2におよぶ偏差をもつ。さらには、SMB比は、現在の間氷期やその一つ前の間氷期において、水同位体比が対照的な傾向傾向を示すのに反して、ほぼ一定の値をとる。これらのような、「水の同位体比には反映されていないSMB比の変動」はDFコアとEDCコアの年代決定結果に偏差が出現したことの原因である可能性がある。
そのようなSMB比の変動を起こした原因として、以下のいくつかの可能性を提起する:
(i)空気塊の輸送や地域的な気候に関連した気候プロセス、 (ii) 2つのドーム地域の相対的な高度差にも関連した氷床変動プロセス、あるいは (iii) 両方のプロセスの組み合わせ、すなわち、堆積の変動とドーム位置の変動。
本研究で推定したSMB比は、氷床流動モデル研究にとって重要な意味をもつ。すなわち、SMB比は氷床モデルや大気モデルの境界条件となり、SMB比はそうしたモデル研究で再現できるかどうかのテスト対象となる。
過去21万6千年間、このSMB比( SMBEDC/SMBDF として定義)は 0.7 ~ 1.1の範囲の値をとり、寒冷な時期には比較的小さく温暖な時期には大きな値を示した。本研究の結果は、EDCにおいて、DFよりも大きな振幅の変動が起こったことを意味している。そしてその結果は、水の安定同位体から見積もってきた質量収支や気温の傾向と一貫している。最終氷期の開始時期 (Marine Isotope Stages, MIS-5c と MIS-5d) において、精密火山同期に基づいたSMB比は、水の安定同位体比をもとにして見積もったSMB比とくらべて、 最大0.2におよぶ偏差をもつ。さらには、SMB比は、現在の間氷期やその一つ前の間氷期において、水同位体比が対照的な傾向傾向を示すのに反して、ほぼ一定の値をとる。これらのような、「水の同位体比には反映されていないSMB比の変動」はDFコアとEDCコアの年代決定結果に偏差が出現したことの原因である可能性がある。
そのようなSMB比の変動を起こした原因として、以下のいくつかの可能性を提起する:
(i)空気塊の輸送や地域的な気候に関連した気候プロセス、 (ii) 2つのドーム地域の相対的な高度差にも関連した氷床変動プロセス、あるいは (iii) 両方のプロセスの組み合わせ、すなわち、堆積の変動とドーム位置の変動。
本研究で推定したSMB比は、氷床流動モデル研究にとって重要な意味をもつ。すなわち、SMB比は氷床モデルや大気モデルの境界条件となり、SMB比はそうしたモデル研究で再現できるかどうかのテスト対象となる。