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[ACG23-03] 水・エネルギー・食料ネクサス:熱エネルギーとしての陸域地下水利用が沿岸水産資源へ与える影響
キーワード:水・エネルギー・食料ネクサス、海底地下水湧水、陸―海相互作用
人間と社会にとって最も基盤的な資源である水、エネルギー、食料は、人口増加と生活環境の変化によって、今後、その需要の増加が予想されている。これらの3つの資源はお互いに密接に連環(ネクサス)し、それぞれの資源間のトレードオフとステークホルダー間のコンフリクトが顕在・潜在する。本研究では、地下水・エネルギー・水産資源のネクサスを、福井県小浜地域で明らかにすることを目的に学際的研究を行った。日本海側沿岸域の積雪地方都市では、少子高齢化による除雪労働力不足により、冬季に相対的に高温な地下水を利用した、地下水消雪の需要が増加している。一方この地下水は、多くの栄養塩を海底地下水として海に供給していることも明らかになっている。また、海底湧水のシグナルであるラドン濃度と海域でのクロロフィルaおよび一次生産量には正の相関があることが明らかになっており、陸域での過剰地下水の利用が、海域での栄養塩供給の変化を通じて、水産資源に影響を与える可能性が指摘されている。本研究では、地下水の3次元モデルを用いた陸―海連環水・物質モデルを構築して、陸域での地下水利用形態の変化が、海域への地下水流出量と供給栄養塩類の変化を通して、小浜湾の水産資源へ与える影響について初期的な評価を行った。その結果、陸域での地下水揚水量を現在の1.5倍にした場合、海底湧水量は現在より5パーセント減少し、水産資源への影響が示唆された。