日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] 小・中・高・大の地球惑星科学教育

2016年5月22日(日) 09:15 〜 10:30 203 (2F)

コンビーナ:*畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、座長:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、根本 泰雄(桜美林大学自然科学系)

09:30 〜 09:45

[G04-02] 実験・観察に特化した小・中学生向け地球科学教育プログラムの実践報告

*川村 教一1 (1.秋田大学教育文化学部)

キーワード:地学教育、中学生、実験・観察教室

中学生を対象とした、地球科学探究に必要とされる物理・化学・生物・地学についての基本的な科学概念や、中学校理科では扱わない発展的な地球科学の内容について教材開発を行い、約半年間にわたる実践を行った。実践を通じて見られた生徒の主な反応は以下の通りである。物理領域:力の概念(MIF概念)を科学的に転換する授業は、一部には効果があった。電球で加熱した水の温度変化から熱平衡に気づかせる実験では、水温変化の特徴を適切に見出すには至らなかった。化学領域:イオンの存在に気づかせる実験を取り入れたが、上級生によるコメントが生徒の認識転換に有効であった。生物領域:魚類の分類と進化を学ぶために無顎類と魚類の観察を行わせたところ、中学生は中学校理科の分類体系の知識に基づいた発想しかできず、観察の視点が乏しくなる様子が見受けられた。生物のスケッチの技能には生徒間格差があった。地学領域:男鹿半島・大潟ジオパークにおける地層観察とモデル実験を組みあわせた学習では、児童生徒の地層変形についての理解を深める機会を提供した。ビスマスを用いた液相からの結晶の成長を例としたマグマ中の斑晶形成モデル実験、ドライアイスなどを用いた彗星の核の熱による変化についてのモデル実験ほかを実践した。学習集団(含む異学年集団)による実験結果の議論の場面では、指導者や上級学生の発言を無批判的に受け入れる様子が見られた。ただし、遅延テストを実施していないので、生徒らが科学的な概念に転換したかどうかは明らかではない。