11:45 〜 12:00
[HDS19-11] 「海域における断層情報総合評価プロジェクト」にもとづく日本海海域の震源断層モデル群の構築
キーワード:海域における断層情報総合評価プロジェクト、断層モデル、日本海
文部科学省が平成25年度より開始した「海域における断層情報総合評価プロジェクト(海域断層PJ)」では、日本周辺の海域における断層についてこれまで実施されてきた調査および探査を統一的に処理し、解析した結果にもとづいてデータベース化していくことがすすめられている。また、海域断層PJでは、データベース化された断層のうちM7規模をこえる地震を発生させる可能性があるものについては、地震動および津波の発生源として断層モデルを構築し、それらを検証することとしている。
本研究は、この海域断層PJのサブテーマとして、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が反射法探査データを再解析して得た断層情報から、それらをモデル化するためのパラメター設定方法のルール化を検討し、震源断層モデル群の設定をおこなったものである。
本研究において設定する震源断層モデルは、海域断層PJによって得られた断層情報にもとづき設定するモデルを「基本モデル」とし、基本モデルどうしの連動を考慮したモデルを「連動モデル」とした。連動モデルでは、基本モデルのみでは表現できない地下深部での連続性や断層間の地震の連動の可能性を考慮し、既往地震の再現性等についても考慮した断層モデルとした。
基本モデルを設定するうえで、パラメターは認識論的不確定性および偶然的不確定性を考慮し次のように設定した。
「断層の位置、長さ、走向」については、海域断層PJの解析結果から設定した。ただし、断層の長さについては、データの断層長が短いものは18㎞に延長した設定とする。「断層上端深度」の設定は、断層上端深度を変えて、その影響度をしらべたパラメタースタディの結果から基本的に海底面とする。「断層傾斜角」の設定は標準的な値を用い、逆断層=45°、正断層=60°、横ずれ断層=90°とする設定と、縦ずれ断層については、音波探査で得られた断層の断面形状から深部と浅部で傾斜角を変化させた設定の2通りの設定をおこなった。「断層下端深度」については、海域断層PJにおいてOBS等をもとに作成された海底下の3D速度構造モデルのデータにおける上部地殻/下部地殻の境界面深度分布からの設定と、既往震源断層モデルの下端深度等を考慮した、より深めの設定の2通りとした。「断層の幅」は、断層の傾斜角と下端深度の関係から設定し、断層の長さと幅の比率が1:1以下になるようにした。「すべり角」の設定は逆断層=90°、正断層270°、右横ずれ断層=0°、左横ずれ断層=180°として設定し、ばらつきの幅を考慮する。「すべり量」の設定は、断層面積とMwの関係式として、入倉・三宅(2001)のスケーリング則の平均値をもちいて設定した。このとき、断層破壊は、地震調査推進本部による「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(レシピ)」にしめされるような、長大断層の破壊に対する考えも考慮した。また、大すべり域は、このレシピにしめされるアスペリティの設定方法にもとづき、ひとつの断層に1個の大すべり域を設定し、断層の面積の30%の範囲に平均すべり量の2倍のすべり量を設定した。なお、大すべり域の設定は断層上端部の中央に設定する場合と、断層中心部に設定する場合の2通りとした。
このような方法で設定した基本モデルの数は、日本海全体で約240、そのうち、能登半島より東の領域で約155、能登半島より西の領域で約80、大和堆で10となった。
これらの基本モデルの組み合わせによって設定する連動モデルは全体で約550パターンとなる。連動モデルの設定にあたっては、地質学的、地球物理学的データの検討により設定した震源断層モデルが、どれだけ既往の地震にたいして再現性をもつかを検証するため、津波シミュレーションによる検討もおこなっている(大角・齋藤ほか, 2015, 地震学会)。
海域断層PJでは今後、南西諸島海域における震源断層モデルの構築に移行する予定である。
本研究は、この海域断層PJのサブテーマとして、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が反射法探査データを再解析して得た断層情報から、それらをモデル化するためのパラメター設定方法のルール化を検討し、震源断層モデル群の設定をおこなったものである。
本研究において設定する震源断層モデルは、海域断層PJによって得られた断層情報にもとづき設定するモデルを「基本モデル」とし、基本モデルどうしの連動を考慮したモデルを「連動モデル」とした。連動モデルでは、基本モデルのみでは表現できない地下深部での連続性や断層間の地震の連動の可能性を考慮し、既往地震の再現性等についても考慮した断層モデルとした。
基本モデルを設定するうえで、パラメターは認識論的不確定性および偶然的不確定性を考慮し次のように設定した。
「断層の位置、長さ、走向」については、海域断層PJの解析結果から設定した。ただし、断層の長さについては、データの断層長が短いものは18㎞に延長した設定とする。「断層上端深度」の設定は、断層上端深度を変えて、その影響度をしらべたパラメタースタディの結果から基本的に海底面とする。「断層傾斜角」の設定は標準的な値を用い、逆断層=45°、正断層=60°、横ずれ断層=90°とする設定と、縦ずれ断層については、音波探査で得られた断層の断面形状から深部と浅部で傾斜角を変化させた設定の2通りの設定をおこなった。「断層下端深度」については、海域断層PJにおいてOBS等をもとに作成された海底下の3D速度構造モデルのデータにおける上部地殻/下部地殻の境界面深度分布からの設定と、既往震源断層モデルの下端深度等を考慮した、より深めの設定の2通りとした。「断層の幅」は、断層の傾斜角と下端深度の関係から設定し、断層の長さと幅の比率が1:1以下になるようにした。「すべり角」の設定は逆断層=90°、正断層270°、右横ずれ断層=0°、左横ずれ断層=180°として設定し、ばらつきの幅を考慮する。「すべり量」の設定は、断層面積とMwの関係式として、入倉・三宅(2001)のスケーリング則の平均値をもちいて設定した。このとき、断層破壊は、地震調査推進本部による「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(レシピ)」にしめされるような、長大断層の破壊に対する考えも考慮した。また、大すべり域は、このレシピにしめされるアスペリティの設定方法にもとづき、ひとつの断層に1個の大すべり域を設定し、断層の面積の30%の範囲に平均すべり量の2倍のすべり量を設定した。なお、大すべり域の設定は断層上端部の中央に設定する場合と、断層中心部に設定する場合の2通りとした。
このような方法で設定した基本モデルの数は、日本海全体で約240、そのうち、能登半島より東の領域で約155、能登半島より西の領域で約80、大和堆で10となった。
これらの基本モデルの組み合わせによって設定する連動モデルは全体で約550パターンとなる。連動モデルの設定にあたっては、地質学的、地球物理学的データの検討により設定した震源断層モデルが、どれだけ既往の地震にたいして再現性をもつかを検証するため、津波シミュレーションによる検討もおこなっている(大角・齋藤ほか, 2015, 地震学会)。
海域断層PJでは今後、南西諸島海域における震源断層モデルの構築に移行する予定である。