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[HGG12-03] 平成27年9月関東・東北豪雨において鬼怒川と茨城県内の河川で生じた落堀と破堤現象の解釈について
キーワード:堤防決壊、洗掘、背水影響
大規模出水時において,堤防の破堤に至る過程とその機構を把握することは,今後の防災・減災対策上,非常に重要である.特に堤防越水に伴う法尻付近の洗掘は,堤防の横断面や長手方向の洗掘現象の時間的進行や破堤流量にも関係する.平成27年9月関東・東北豪雨の鬼怒川破堤地点付近では,複雑な洗掘形状が確認されている.こうした洗掘形状が生じる要因は流れの三次元性に加え,越流水深と堤防高さの比,越流幅などに関係している.本研究では,2015年の豪雨で河川の破堤氾濫が生じた鬼怒川だけではなく,茨城県内の宮戸川・西仁連川・八間堀川の破堤事例も含め,破堤現象のメカニズム,落堀の個数,破堤幅や破堤部の洗掘領域の長さなどの基礎データを水理量と関連付けることを目的とする.目的を達成するため災害後調査と水理実験を実施した.破堤現象は越流水深と堤防高さの比が小であること,堤防の決壊前に堤防断面が半分程度削られて自由水脈が形成されるような環境下で川裏側法尻付近の洗掘現象が生じる等,複雑であった.生じた現象を理解するため,平面水路に堤防モデル(木製:台形と台形の堤内側半分がない形状)と法尻以降に移動床を設置し,洗掘現象を再現した.越流初期を想定した実験でのおっぽり個数も,越流により堤防が半分削られたときの実験でのおっぽり個数も6個程度形成された.自由流脈による洗掘深は堤防形状が維持されたときの洗掘深の約1.5-1.8倍であった.背水影響を強く受けた宮戸川・西仁連川や,鬼怒川の氾濫水が流入し破堤した八間堀川の破堤幅は傾向としては小さかったが,鬼怒川の初期破堤幅は宮戸川・西仁連川・八間堀川と類似していた.初期破堤現象は堤防高が同程度の場合類似した値をとることが示唆された.最終破堤幅は氾濫の継続時間(指標として川幅)が大きく 関係していることが示唆された.