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[MIS09-09] 保圧コア回収システムPCTB—PCATS によるメタンハイドレート含有コアの回収とメタンハイドレート量見積もり: 日本海表層型メタンハイドレート資源把握調査
キーワード:保圧コアリング、メタンハイドレート量
日本海東縁に分布する表層型メタンハイドレート賦存海盆内のガスチムニー構造中にメタンハイドレートがどのように存在するかを明らかにするため、2015年8月—11月、隠岐周辺と上越沖の3箇所のガスチムニー構造において海底からの深度100m程度までの掘削コアリングを実施した。昨年度の掘削結果を踏まえ、今回は保圧コア回収システムPCTB-PCATS(GEOTEK LTD)を採用した。通常のコアリングシステムではコア回収中の温度上昇と圧力減少により堆積物中に含有されるメタンハイドレートの一部〜全部が分解し、海底下現地状態でのハイドレートの組織、産状、含有量を正確に知る事は困難である。保圧コアラPCTBは現地圧力を保持した状態で長さ2.5m直径5.1cmのコアの回収を可能とする。PCTBは42回投入し32回で圧力保持されたコアが回収された。保圧コアは船上に設置されたPCATS(Pressure Core Analysis and Transfer System)でただちにX線CT観察、ガンマ線密度・速度検層を実施、判定された岩相に基づいて詳細分析項目を決定、複数のセクションに切断した。船上での低温全分解実験によりセクション内に含有されるメタンハイドレートからのメタン量を正確に測定し、メタンハイドレート含有量(体積分率)を知る事が出来る。推定されたハイドレート量と当該コアから抽出した間隙水の塩素濃度異常から、堆積物中の真の間隙水塩素濃度(ベースライン濃度)を求める事ができる。ベースライン濃度は、通常のコアリングシステムで回収された堆積物から “間隙水”を抽出してハイドレート含有量を計算する際の基礎データとなる。本講演では表層型メタンメタンハイドレートの保圧状態での組織と産状、いくつかの掘削サイトでのメタンハイドレート量見積もりについて報告する。本研究は、経済産業省メタンハイドレート開発促進事業の一環として実施されたものである。発表を許可して頂いた事に対して謝意を表したい。