17:15 〜 18:30
[PCG20-P02] ASICプリアンプ内蔵型サーチコイルの基礎検討
キーワード:ASICプリアンプ、プラズマ波動観測機、サーチコイル
磁気圏のプラズマ波動ダイナミクスを多点で捉えるために超小型科学衛星の開発が進められている。同時に科学観測機に対して質量や消費電力等の物理的制約が厳しくなっている。これに対し、我々はリソースの大幅な削減のためにアナログASIC(特定用途向け集積回路)技術を用いてプラズマ波動観測機の開発を行っている。
プラズマ波動の交流磁界成分は、通常ファラデーの法則を用いたサーチコイルが用いられる。一般的なサーチコイルセンサは一組のコイルと棒状の磁性体コアで構成され、衛星本体などから発生するノイズの影響を防ぐため衛星本体から数m離れたマスト先端に配置される。従来の場合、サーチコイルセンサから出力される微弱な信号(mVオーダ)は伝送する過程で雑音が乗り特性が劣化する。本研究では、サーチコイルセンサ内部に我々が開発したASICプリアンプを配置することで、ケーブルによる特性の劣化やサイズ・質量を極端に低減するASICプリアンプ内蔵型サーチコイルを提案する。本研究では特に以下の項目について検討を行った。まず一つは、実効透磁率である。従来型のサーチコイルセンサは、棒状コアを使用しておりASICプリアンプを配置する空間がない。そこで、棒状の磁性体コアの断面を分割することでASICプリアンプを配置する空間を確保することを考えた。その結果、従来コアと四分割したコアでは分割コアの実行透磁率が1.35 dB大きくなり性能が向上することが分かった。二点目は、放射線環境についてである。ASICプリアンプ内臓型サーチコイルは暴露機器として使用されるため放射線の影響を考える必要がある。過剰な放射線がASICプリアンプに入射すると、ラッチアップや電気性能の劣化が起こる。このため放射線シミュレーションを行った結果、コイルを模擬した銅版(厚さ:5 mm)はアルファ線(60 MeV/(mg/cm2)以下)とガンマ線(0.05 MeV/(mg/cm2)以下)に対してシールド材として働くことが分かった。三点目は、クロストーク問題である。交流磁界ベクトル測定を行うには直交三軸に配置されたサーチコイルを用いる。そのため、水平方向の磁界に対し直行成分の磁界も発生し磁性体コアにより磁界が変歪する。その結果、クロストークとしてセンサ性能を劣化させる。そこで、三軸の磁性体コアの最適な配置を交流磁界シミュレーションにより解析した。シミュレーションの結果より各磁性体コアの間隔35 mm以下でクロストークが-40 dB以下(角度誤差1度以下)となることが分かった。
本発表では、ASICプリアンプ内蔵型サーチコイルの解析結果について詳細に述べる予定である。
プラズマ波動の交流磁界成分は、通常ファラデーの法則を用いたサーチコイルが用いられる。一般的なサーチコイルセンサは一組のコイルと棒状の磁性体コアで構成され、衛星本体などから発生するノイズの影響を防ぐため衛星本体から数m離れたマスト先端に配置される。従来の場合、サーチコイルセンサから出力される微弱な信号(mVオーダ)は伝送する過程で雑音が乗り特性が劣化する。本研究では、サーチコイルセンサ内部に我々が開発したASICプリアンプを配置することで、ケーブルによる特性の劣化やサイズ・質量を極端に低減するASICプリアンプ内蔵型サーチコイルを提案する。本研究では特に以下の項目について検討を行った。まず一つは、実効透磁率である。従来型のサーチコイルセンサは、棒状コアを使用しておりASICプリアンプを配置する空間がない。そこで、棒状の磁性体コアの断面を分割することでASICプリアンプを配置する空間を確保することを考えた。その結果、従来コアと四分割したコアでは分割コアの実行透磁率が1.35 dB大きくなり性能が向上することが分かった。二点目は、放射線環境についてである。ASICプリアンプ内臓型サーチコイルは暴露機器として使用されるため放射線の影響を考える必要がある。過剰な放射線がASICプリアンプに入射すると、ラッチアップや電気性能の劣化が起こる。このため放射線シミュレーションを行った結果、コイルを模擬した銅版(厚さ:5 mm)はアルファ線(60 MeV/(mg/cm2)以下)とガンマ線(0.05 MeV/(mg/cm2)以下)に対してシールド材として働くことが分かった。三点目は、クロストーク問題である。交流磁界ベクトル測定を行うには直交三軸に配置されたサーチコイルを用いる。そのため、水平方向の磁界に対し直行成分の磁界も発生し磁性体コアにより磁界が変歪する。その結果、クロストークとしてセンサ性能を劣化させる。そこで、三軸の磁性体コアの最適な配置を交流磁界シミュレーションにより解析した。シミュレーションの結果より各磁性体コアの間隔35 mm以下でクロストークが-40 dB以下(角度誤差1度以下)となることが分かった。
本発表では、ASICプリアンプ内蔵型サーチコイルの解析結果について詳細に述べる予定である。