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[PPS14-07] 宇宙電波観測による低質量星形成領域L1527における炭素鎖分子HC3Nの13C同位体比の精密決定
キーワード:電波、炭素鎖分子、同位体
直線炭素鎖分子は、これまで暗黒星雲で観測されてきた。近年では、class 0の進化段階にある低質量星形成領域L1527でも観測されている[1]。我々は、直線炭素鎖分子の生成機構を調査するため、基本的な直線炭素鎖分子であるHC3N の13C 同位体の観測を、グリーンバンク100 m望遠鏡と 野辺山 45 m 望遠鏡を用いて行った。44–109 GHz帯の回転遷移を用い、同位体比を[H13CCCN] : [HC13CCN] : [HCC13CN] : [HCCCN] = 1.00 : 1.01 ± 0.03 : 1.35 ± 0.04 : 86.4 ± 2.2 (括弧内1σ誤差)と精密に決定できた。また、窒素の同位体15Nについては、同位体比 [HCC13CN]/[HCCC15N] = 5.26 ± 0.24 と [HCCCN]/[HCCC15N] = 338 ± 15を得ることができた。H13CCCN と HC13CCNの存在量が等しいことから、L1527では、HC3Nは二つの等価な炭素を持つC2H2 と C2H2+から生成することがわかった。この結果は、これまで同位体比が観測された暗黒星雲TMC-1と同じであった[2]。よって、HC3Nのこの生成機構は分子雲進化における暗黒星雲からclass 0の段階まで普遍的に成り立つことが明らかになった。
[1] Sakai, N., Sakai, T., Hirota, T., & Yamamoto, S. 2008, ApJ, 672, 371
[2] Takano, S., Masuda, A., Hirahara, Y., et al. 1998, A&A, 329, 1156
[1] Sakai, N., Sakai, T., Hirota, T., & Yamamoto, S. 2008, ApJ, 672, 371
[2] Takano, S., Masuda, A., Hirahara, Y., et al. 1998, A&A, 329, 1156