日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL40] 「泥火山」の新しい研究展開に向けて

2016年5月24日(火) 10:45 〜 12:15 302 (3F)

コンビーナ:*土岐 知弘(琉球大学理学部)、浅田 美穂(国立研究法人海洋研究開発機構)、井尻 暁(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、森田 澄人(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門)、辻 健(九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所)、喜岡 新(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、田中 和広(山口大学大学院理工学研究科)、座長:浅田 美穂(国立研究法人海洋研究開発機構)、土岐 知弘(琉球大学理学部)

11:45 〜 12:00

[SGL40-04] InSARによるアゼルバイジャンの泥火山の活動に伴う地殻変動の検出と地下圧力源の推定

*飯尾 研人1古屋 正人1 (1.北海道大学大学院理学院)

キーワード:InSAR、茂木モデル、アゼルバイジャン

地表面の変動を検出する方法の一つにInSAR(Interferometric SAR)がある.SAR(合成開口レーダー)は地上に観測点を設置すること無く,面的に地表データを取得することが可能であり,InSARを用いれば,数cmの感度で地表変位の観測をすることができる.本研究では,InSARにより泥火山の変動を検出し,そのデータを元に地下内部の状態を推定することを目的とした.
アゼルバイジャンはカスピ海西岸に位置し,世界でも有数の泥火山を有する中央アジアの国である.JAXAが打ち上げたALOS/PALSARとALOS-2/PALSAR-2(だいち一号,二号)の2007年から2010年と2014年以降のデータを解析した.結果,十数の泥火山の活動に伴う変動を検出することができた.また,そのほとんどが衛星視線方向に近づく山体の隆起を示す変動であり,この地域一帯の泥火山は活発であることが裏付けられる.その中でも特に大きいAyaz-Akhtarma泥火山 とAkhtarma-Pashali泥火山に特に注目する.Benedetta et al. (2014)では,Cバンド衛星であるENVISAT/ASARの2003~2005年のDescendingデータを用いて,噴火前の変動を捉えることを目的とし,Ayaz-Akhtarma泥火山では二年間で20cm視線方向に近づく結果が得られている.またAkhtarma-Pashali泥火山では二年間で4.5cm視線方向に近づく結果が得られている.しかし,これらに続く研究報告は無く,その後の挙動は分かっていなかった.本研究では,これらの泥火山に対し,Lバンド衛星であるALOS/PALSARのAscendingデータ及びALOS-2/PALSAR-2のAscending,Descendingデータを用いたInSAR解析結果を報告する.その結果,最大で13cm/yrほど衛星視線方向に近づく変位が得られた.また,検出した変動から茂木モデルを用いて地下圧力源の推定を行った.推定の結果,Ayaz-Akhtarma泥火山では圧力源の深さは400m,体積変動量は1.0×105m3となった.