日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC47] 活動的火山

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)、前田 裕太(名古屋大学)

17:15 〜 18:30

[SVC47-P24] 阿蘇火山2014年噴火に関する電磁気データの再解析について

*宇津木 充1 (1.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター)

キーワード:地磁気全磁力、火山地磁気効果、熱消磁

阿蘇中岳火口では、2014年11月に21年ぶりに本格的なマグマ噴火が始まった。我々は阿蘇中岳火口周辺で地磁気連続観測及を行ってきたが、この噴火に関連して地下の熱的状態の急激な変化を示唆するデータが得られた。本発表ではこれらのデータ及びプレリミナリーな解析結果について紹介する。
京都大学火山研究センターでは、阿蘇中岳第一火口周辺で1991年から地磁気全磁力連続観測を行ってきた。この観測から得られるデータについて、火山研究センター内に設置されている磁力計データをリファレンスとして全磁力の単純差を求め、火山活動に関連する地磁気変化、即ち地中温度により地殻岩石の磁化が変化することで生じる磁場時間変化をモニタリングしてきた。この観測の結果、2014年11月の噴火の1カ月ほど前から急激な磁場変化が観測された。この磁場変化のセンスは地中温度が急激に上昇した場合のものであり、解析(グリッドサーチ)の結果、磁場変化源は火口縁から地下約150m、第一火口・火口底から約50m深度に求まった。これは噴火活動に伴いマグマが浅部まで上昇し、地中温度を急激に上昇させた事を示唆するものである。この変化は噴火発生後も継続し、翌2015年の4月末ごろまで続いた。この期間のデータについて本研究では、Hujii and Kanda (2008)のデータ分離の方法を応用した方法を用いデータの再解析を行った。この再解析では、観測された時間変化をリージョナル成分、日周期成分及びトレンド成分に分離し、最後のトレンド成分を火山活動起因の磁場変化とみなす。この解析の結果非常にクリアなトレンド成分が抽出された。またその結果を元に、地下の熱源の移動についてのモデルを等価磁気源解析から求めた。本講演では、観測されたデータ、解析結果と共に熱源移動のモデルについての詳細を示す。