日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] Eveningポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW20] 流域の物質輸送と栄養塩循環-人間活動および気候変動の影響-

2018年5月21日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:齋藤 光代(岡山大学大学院環境生命科学研究科)、小野寺 真一(広島大学大学院総合科学研究科)、細野 高啓(熊本大学大学院先導機構、共同)、Adina Paytan(University of California Santa Cruz)

[AHW20-P14] 箱根山噴火(150629)の周辺水環境に与える影響

*堀内 雅生1小寺 浩二2浅見 和希3 (1.法政大・学、2.法政大・地理、3.法政大・院)

キーワード:箱根山、噴火、火山噴出物、大涌沢、水質

1 はじめに
火山地域では水資源が豊富で、保全、利用のためには水環境問題の把握が重要である。噴火が発生すると、噴出物から溶け出した成分によって周辺の河川・地下水等が汚染されることが考えられる。これを踏まえ、2015年6月29日に箱根山の大涌谷で発生した噴火が周辺水環境へどのような影響を与えているか把握するため、月に一度の調査を行っている。
2 結果・考察
1.河川のEC・pH
早川ではEC、pHが200~400μS/cm、7~8で変動し、噴火後の調査では目立った値の変化は見られなかった。大涌沢では噴火直後の調査で6,780μS/cm、pH2.4の高EC・低pHを観測した。大涌沢のECは時間経過とともに低下する傾向が見られており、1608以降は3,000μS/cm前後で安定している。pHに関しては噴火直後と比較して高い値が観測されている。
2.主要溶存成分
大涌沢では噴火から時間が経つにつれ、Cl-が低下する傾向がみられている。一方でSO42-は目立った減少はみられていない。Cl/SO4比率は、1507に1.1であったものが、1707では0.2に低下している。陽イオン比に関しては陰イオンと比較して変化は少ない。
3.雨水
雨水は9地点でサンプリングしているが、大涌谷に近い地点で高EC(最大230μS/cm)、低pH(最低3)が観測されている。1604~1608では採取した雨水に含まれる成分量が多くなった地点があり、その周辺の火山ガス濃度との関連が考えられる。
3 おわりに
大涌沢のECや塩化物イオン比が噴火から時間が経つにつれて低下していることが分かった。今後は流出を考慮し、流域に与える影響を定量的に見積もっていきたい。