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[MIS11-04] 岩手県広田湾における3.11 津波堆積物の粒子特性とその起源
キーワード:津波堆積物、三陸海岸、東北地方太平洋沖地震
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震・津波により東北地方太平洋沿岸域は壊滅的な被害を受けた。三陸沿岸域の湾では、2011年東北地方太平洋沖地震・津波によって砂質~砂礫質で構成される津波堆積物が湾全域に広く分布していることやその特徴に関する報告がおこなわれ(横山ほか,2014)、堆積メカニズムの推定が進んでいる。しかし、津波堆積物はどこから供給されたのか、その起源についてはいまだ明らかとなっていない。本発表では、岩手県広田湾で採取した津波堆積物試料の粒子特性を用いて、その起源の推定を試みた。
柱状堆積物試料は、2012年から2015年にかけて水深約8~30 mで採取した。湾内にて採取した柱状堆積物試料はどの試料も上位から砂質堆積物で構成されるUnit1(以下U1)、泥質~泥まじり砂質堆積物で構成されるUnit2(以下U2)に区分される。岩相的特徴からU1は2011年津波堆積物、Unit2は湾内通常時堆積物と推定された。また、U2下位には砂質堆積物が狭在する試料もみられ、過去のイベントを示すものと考えられる(横山他,2013)。U1層に関しては粒度分析および岩相特徴から複数回の級化構造を基にしたサブユニットへの区分が考えられる(横山他, 2016)。これらは津波堆積物が複数回の流動によって形成されたことを示していると推定される。
これらの柱状堆積物試料および周辺海岸砂の粒度分析結果から、中央粒径値および淘汰度による相関を求めた。相関図から、U1とU2はどの試料においてもその分布範囲が大きく異なることがわかった。U1内のサブユニットにおいてもそれぞれ分布範囲が異なる傾向が認められた。また、どの試料においてもU1は、U2と周辺海岸砂の間に分布し、その両者に起源を持つことが推定される。特に、沿岸域で採取した柱状堆積物試料においては、U1の一部は海岸砂とほぼ同じ分布範囲を示し、海岸砂から供給されたことが示唆される。一方で、沖合に向かうにしたがって、U1分布範囲は、U2分布範囲へ近づく傾向が認められ、海底堆積物からの供給の可能性が推定される。
また、U2下位に認められた砂質堆積物層は、相関図からU1と同範囲に分布したことから、類似したイベントにより形成された堆積物の可能性が推察された。
したがって、粒子特性からその起源および類似イベントの特定を行うことが可能であると推察され、今後より検討を深める必要があると考えられる。また本報告時には粒子特性と合わせ、堆積物試料の全岩化学組成値を用いた起源推定も試み、議論を行う予定としている。
柱状堆積物試料は、2012年から2015年にかけて水深約8~30 mで採取した。湾内にて採取した柱状堆積物試料はどの試料も上位から砂質堆積物で構成されるUnit1(以下U1)、泥質~泥まじり砂質堆積物で構成されるUnit2(以下U2)に区分される。岩相的特徴からU1は2011年津波堆積物、Unit2は湾内通常時堆積物と推定された。また、U2下位には砂質堆積物が狭在する試料もみられ、過去のイベントを示すものと考えられる(横山他,2013)。U1層に関しては粒度分析および岩相特徴から複数回の級化構造を基にしたサブユニットへの区分が考えられる(横山他, 2016)。これらは津波堆積物が複数回の流動によって形成されたことを示していると推定される。
これらの柱状堆積物試料および周辺海岸砂の粒度分析結果から、中央粒径値および淘汰度による相関を求めた。相関図から、U1とU2はどの試料においてもその分布範囲が大きく異なることがわかった。U1内のサブユニットにおいてもそれぞれ分布範囲が異なる傾向が認められた。また、どの試料においてもU1は、U2と周辺海岸砂の間に分布し、その両者に起源を持つことが推定される。特に、沿岸域で採取した柱状堆積物試料においては、U1の一部は海岸砂とほぼ同じ分布範囲を示し、海岸砂から供給されたことが示唆される。一方で、沖合に向かうにしたがって、U1分布範囲は、U2分布範囲へ近づく傾向が認められ、海底堆積物からの供給の可能性が推定される。
また、U2下位に認められた砂質堆積物層は、相関図からU1と同範囲に分布したことから、類似したイベントにより形成された堆積物の可能性が推察された。
したがって、粒子特性からその起源および類似イベントの特定を行うことが可能であると推察され、今後より検討を深める必要があると考えられる。また本報告時には粒子特性と合わせ、堆積物試料の全岩化学組成値を用いた起源推定も試み、議論を行う予定としている。