日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-RD 資源・鉱床・資源探査

[S-RD33] 資源地質学

2018年5月23日(水) 09:00 〜 10:30 A11 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:大竹 翼(北海道大学大学院工学研究院 環境循環システム部門)、荒岡 大輔(産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、高橋 亮平(秋田大学大学院国際資源学研究科、共同)、野崎 達生(海洋研究開発機構海底資源研究開発センター)、座長:大竹 翼(北海道大学大学院工学研究院)、高橋 亮平(秋田大学国際資源学部)

09:30 〜 09:45

[SRD33-02] 斑岩銅鉱床の起源:銅の濃集メカニズムとは

*丸山 茂徳1古野 正憲2 (1.東京工業大学地球生命研究所、2.日鉄鉱コンサルタント株式会社)

キーワード:斑岩銅鉱床、銅の濃集メカニズム、銅の集積場

鉱床成因論は15世紀に始まる研究領域であるが,21世紀になった今日でも十分に確立されているとは言い難い。世界の鉱床には,斑岩銅鉱床や層準規制鉱床などいくつかのタイプがあり,世界各国で鉱山開発が進められているが,その埋蔵量を比較すると南米大陸西縁,特にチリ北部の銅埋蔵量は世界の銅埋蔵量の30%前後を占めている。では,そうした銅の濃集メカニズムは何によるものなのか?

銅の根源的な供給源は中央海嶺であり,チムニーに固定された銅をはじめとする資源鉱床(元素)がプレート拡大とともに移動し,最終的にプレート収束境界であるプレート沈み込み帯で濃集することが銅鉱床形成の根本的なメカニズムである。そのようなプレート収束境界は,たとえば太平洋周辺には常に存在するが,中でも特に南米大陸西縁に銅が濃集する主要な原因は,(1) 中央海嶺の位置,と(2) 構造侵食作用による銅元素のリサイクル,だと云える。特に、プレート収束帯で沈み込むスラブや大陸起源と堆積物の脱水過程をとおして、それらに含有されていた金属元素が時間とともに前弧域に濃集した。さらに6億年前以降南米西縁でつづく構造侵食はその効果をさらに増大したことが、南米チリ西縁における銅の濃集メカニズムの鍵である。こうした銅の濃集メカニズムは,「銅元素の集積機構(Metallogenic copper accumulation mechanism)」と命名し,単純化して「Copper Bank」と呼ぶことにする。