[SSS12-P03] 2011年東北地方太平洋沖地震震源域における地震後応力場
2011年東北地方太平洋沖地震(東北沖地震)時には,その震源域周辺で応力場が大きく変化し,震源では蓄積されていたせん断応力がほとんどすべて解放されたことが,主応力軸とプレート境界断層がなす角度の変化から推定されている(e.g. Hasegawa et al., 2011) .東北沖地震の発生後から約7年が経過した現在,次の巨大地震発生に向けてプレート間の再固着,ひずみの再蓄積が進んでいる可能性があり,このような変化は主応力軸の変化に現れうると考えられる.Hardebeck (2012) では,東北沖地震時にほとんどすべてのせん断応力を解放されたため,地震後短期間のわずかなひずみの蓄積によって,地震前の主応力軸の方向に戻ったと解釈している.一方で,我々はこうした応力場の時間変化を推定する上で応力場の空間不均質性を適切に考慮する必要があることを示した(Nishimori et al., 2017).
本研究では,東北沖地震後から2017年の末までに発生した地震のメカニズムを用いて,東北沖の上盤プレート内を対象とした応力テンソルインバージョンを行った.緯度経度を0.3°間隔に区切って解析を行い,応力場の空間変化を調べた結果,最大圧縮応力(σ1)軸の方向や応力比R =(σ1-σ2)/(σ1-σ3)に,本震のすべり域との対応が見られた.本震のすべり域付近では,最大圧縮応力軸のプランジ角が大きく(>65°),応力比の値が0.5 ~ 0.8 程度であるという,共通の特徴を示す.これらの結果は東北沖地震発生直後の応力場を解析した Hasegawa et al. (2011)が得た結果とよく対応している.次に,このような共通の応力場を示すと考えられる範囲を対象として,地震後の応力場の時間変化を調べた.その結果,応力軸の方向には明確な回転を認めることはできなかったが,R の値は時間の経過とともに減少している可能性がある.
本研究では,東北沖地震後から2017年の末までに発生した地震のメカニズムを用いて,東北沖の上盤プレート内を対象とした応力テンソルインバージョンを行った.緯度経度を0.3°間隔に区切って解析を行い,応力場の空間変化を調べた結果,最大圧縮応力(σ1)軸の方向や応力比R =(σ1-σ2)/(σ1-σ3)に,本震のすべり域との対応が見られた.本震のすべり域付近では,最大圧縮応力軸のプランジ角が大きく(>65°),応力比の値が0.5 ~ 0.8 程度であるという,共通の特徴を示す.これらの結果は東北沖地震発生直後の応力場を解析した Hasegawa et al. (2011)が得た結果とよく対応している.次に,このような共通の応力場を示すと考えられる範囲を対象として,地震後の応力場の時間変化を調べた.その結果,応力軸の方向には明確な回転を認めることはできなかったが,R の値は時間の経過とともに減少している可能性がある.