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[U06-05] 日本火山学会による火山防災協議会における火山専門家の活動状況調査の紹介
キーワード:火山防災委員会、御嶽山2014年噴火、火山防災協議会、活火山法
火山災害に際して火山学関連の研究者が担う役割について、日本火山学会で最近行ったアンケート調査の概要について紹介する。火山噴火現象は頻度が低い上、火山岩塊や火山灰を大量に飛散させる爆発的な噴火の他、溶岩流や火砕流、土石流など多様かつ特殊な現象が発生して、災害に結び付く。しかも、火山地域で地震や地殻変動が観測されてから最大規模の噴火が発生するまでの推移も複雑で予測が難しい。そのため、日頃は大学等で火山学の基礎研究に従事している研究者が発信する専門的な知見が、一般市民や行政が噴火災害に適切に対応するために重要な役割を果たす。これまでの日本国内の火山噴火災害でも、行政の火山噴火対応に関して、火山学関連の基礎研究従事者が助言を求められる状況がしばしば発生してきた。その上、死者・行方不明者63人を出した2014年の御嶽山の噴火災害を受けて、2015年に活動火山対策特別措置法が改正され、噴火の高い活火山周辺の自治体には火山専門家をメンバーに含む火山防災協議会を設置することが義務付けられた。すなわち、火山専門家が火山防災協議会において警戒避難体制等に関して助言を行うことに法的根拠が与えられることとなった。しかし、火山研究者が専門家としての行政へ助言を行う場合の指針やガイドラインのようなものは存在せず、どのような基準や方針で助言するかは各自の判断に委ねられていた観が強い。そのような状況では、火山防災協議会という枠組みの中での専門家の役割に一定の一貫性や整合性を保つことは困難であると考えられることから、2017年度に火山学会火山防災委員会の取り組みとして、火山防災協議会に参画する専門家を対象として協議会における活動実態や意識に関するアンケート調査を行った。その結果、専門家の間でも多様な意見が存在し、今後、さらに議論を深めていく必要性があることが示された。