日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW22] 流域の物質輸送と栄養塩循環-源流域から沿岸海域まで-

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:小林 政広(国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所)、吉川 省子(農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター)、安元 純(琉球大学 農学部 地域農業工学科)、Adina Paytan(University of California Santa Cruz)

[AHW22-P14] 源流域における水安定同位体比の高度効果とその平野地下水に対する寄与域の推定~琵琶湖における東西流域の比較~

*友澤 裕介1王 崑陽1齋藤 光代2伴 修平3奥田 昇4小野寺 真一1 (1.広島大学大学院総合科学研究科、2.岡山大学大学院環境生命科学研究科、3.滋賀県立大学環境科学部、4.総合地球環境学研究所)

キーワード:安定同位体比、高度効果、地下水涵養

流域の水の流動を把握するにあたり,同位体比はトレーサーとして有用である。降水中の水安定同位体比には高度効果などの特性が知られており,それは季節変動と地域性がある。少流域における地下水涵養域を推定するにあたっては,より詳細な高度効果を把握するこが重要となってくる。

 本研究では、琵琶湖の東西流域の地下水及び栄養塩類の流動を把握するにあたり、源流域における沢水の水安定同位体比の高度効果の確認を行い,地下水涵養標高の推定を行った。

 琵琶湖東側にある芹川上流域の採水は2017年7月,2017年12月,2018年8月に実施した。琵琶湖西側にある安曇川・鵜川上流域の採水は2018年8月に実施した。

 結果,東西ともに地下水は表流水より値が低く,かつ沢水には高度効果が確認でき,上流の水が地下水に寄与していると推定できた。酸素安定同位体比の高度効果は,東側:0.15~0.13‰/100m,西側:0.15‰/100m(安曇川上流域のみ)であった。また,既往研究の降水のd値は冬季27‰,夏季16‰であるのに対し,2018年8月採水の安曇川上流域平均値は23‰,鵜川は18‰,芹川は20‰であり,各河川流域の特徴を示していると考えられる。

 これらを元に,地下水の涵養標高及び上流域の水の寄与率の推定を行った。