日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS04] 大気化学

2019年5月30日(木) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:中山 智喜(長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科)、岩本 洋子(広島大学 生物圏科学研究科)、豊田 栄(東京工業大学物質理工学院)、江口 菜穂(Kyushu University)

[AAS04-P32] 陸別・昭和基地・つくばにおける地上FTIR観測によるフロン・代替フロン類の長期変動

*中島 英彰1,2武田 真憲2,1村田 功2杉田 考史1長浜 智生3森野 勇1木名瀬 健4 (1.国立研究開発法人 国立環境研究所、2.東北大学大学院環境科学研究科、3.名古屋大学宇宙地球環境研究所、4.気象研究所)

キーワード:フロン、代替フロン、FTIR

北海道陸別(43.5N, 143.8E)において1995年より、南極昭和基地(69.0S, 39.6E)において、2007, 2011, 2016年の3年間、つくば(36.1N, 140.1E)において2018年6月より、それぞれBruker社製IFS-120M及びIFS-125HR型FTIRによる太陽赤外線を光源に用いた大気微量成分の観測を行っている。本研究では、これらのFTIRで得られた赤外分光スペクトルから、各種フロン類・代替フロン類の長期変動を解析した結果について報告する。

今回特に注目したのは、フロン類のCFC-11, CFC-12、及び代替フロンのHCFC-22である。オゾン層を破壊するフロン類及び代替フロンのうちのHCFCsは1987年のモントリオール議定書で生産と消費が規制され、徐々にHCFCやHFC、さらに自然冷媒への転換が進んできている。ところが、2018年に、アジアにおける2011年以降のCFC-11の違法な生産を示唆する論文が発表された(Montzka et al., Nature, 2018)。これら、CFCs, HCFCsは地上におけるガスクロマトグラフ・質量分析計による測定のほかに、赤外分光観測によって大気中の濃度の測定が可能である。我々は、1995年からの日本におけるFTIRの観測データから、CFC-11, CFC-12, HCFC-22の高度分布と気柱全量の長期変動の様子を、SFIT4という解析ツールを用いて解析した。Figure 1にHCFC-22の上空気柱全量の値の長期変動の様子を、Figure 2に地表から8 kmまでの積算値の変動の様子を示す。気柱全量に見られる夏のピークは、対流圏界面高度の変動の結果と思われ、0~8 kmの積算値ではその変動がなくなっている様子を見てとることが出来る。このような、高度分布に関する情報を地上から得ることが出来るのは、FTIR観測の特徴の一つである。発表では、CFC-11やCFC-12の解析例や粒跡線解析の結果についても発表する。