[MIS17-P08] 静穏領域フィラメントの噴出によるマウンダー極小期中の巨大磁気嵐
キーワード:磁気嵐、オーロラ、コロナ質量放出、太陽フレア、マウンダー極小期、歴史文献
本研究の目的は歴史文献中に記録されている低緯度オーロラの記録から黒点がほとんどない時期が長期間続いたマウンダー極小期(1645-1715)における太陽活動について探ることである。マウンダー極小期における磁気緯度が30度以下の低緯度地域の記録のうち、多地点同時観測によりオーロラであることが確実視されているのが1653年3月2日のオーロラである。このイベントは中国と日本の文献に独立した記録があることがWillis & Stephenson (2000)により既に指摘されている。
オーロラの仰角を10度程度と仮定すると、観測地の磁気緯度から推定されるオーロラ帯低緯度境界の磁気緯度は約43度となる。これにオーロラ帯の磁気緯度とDst指数の経験則(Yokoyama et al. 1998)を適用するとDst指数は-325nT程度となる。マウンダー極小期中も黒点が皆無だったわけではないので、このような大規模磁気嵐を起こす一つの可能性は、この時期にたまたま大きな黒点が出現していたということである。しかし同時期にHeveliusがヨーロッパで行っていた黒点観測記録と照合すると、3月1日と9日は無黒点との記録があり、少なくとも大きな黒点はなかった可能性が高い。一方で、1994年4月14日の磁気嵐(Dst~-200nT)のように、黒点から離れた静穏領域のフィラメント噴出が強い磁気嵐を起こすこともありうる。
Burton et al. (1975)が経験的に導出したDst指数の発展方程式を解くと、太陽風中の南向き磁場40nT、太陽風速度毎秒600kmが8時間程度続けば、Dst=<-300nTが実現されることが示唆される。これはフラックスロープの磁束にして約2.5x10^21Mxに相当し、超巨大静穏領域フィラメントの噴出に付随する値としては可能な範囲と考えられる。
オーロラの仰角を10度程度と仮定すると、観測地の磁気緯度から推定されるオーロラ帯低緯度境界の磁気緯度は約43度となる。これにオーロラ帯の磁気緯度とDst指数の経験則(Yokoyama et al. 1998)を適用するとDst指数は-325nT程度となる。マウンダー極小期中も黒点が皆無だったわけではないので、このような大規模磁気嵐を起こす一つの可能性は、この時期にたまたま大きな黒点が出現していたということである。しかし同時期にHeveliusがヨーロッパで行っていた黒点観測記録と照合すると、3月1日と9日は無黒点との記録があり、少なくとも大きな黒点はなかった可能性が高い。一方で、1994年4月14日の磁気嵐(Dst~-200nT)のように、黒点から離れた静穏領域のフィラメント噴出が強い磁気嵐を起こすこともありうる。
Burton et al. (1975)が経験的に導出したDst指数の発展方程式を解くと、太陽風中の南向き磁場40nT、太陽風速度毎秒600kmが8時間程度続けば、Dst=<-300nTが実現されることが示唆される。これはフラックスロープの磁束にして約2.5x10^21Mxに相当し、超巨大静穏領域フィラメントの噴出に付随する値としては可能な範囲と考えられる。