14:22 〜 14:37
[MIS19-09] サンゴ骨格の化学分析に基づくジャワ海における過去70年の環境変動
インドネシア多島海は、地形の複雑性などから海洋観測データの蓄積が少ない海域である。そのため、過去数十年以上にわたる海洋環境の変化を理解するためには、間接指標を用いた環境復元が必要である。そこで本研究では、サンゴ骨格中のSr/Ca比, U/Ca比および炭素同位体比(δ13C)の分析から過去70年間の海洋環境の復元を行った。
本研究では、インドネシア・ジャワ海に位置するセリブ諸島周辺の海域から採取された塊状ハマサンゴ(Porites sp.)の骨格コアを使用した。骨格中のSr/Ca比は誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置、U/Ca比はICP質量分析計、δ13Cは安定同位体比質量分析計によって、それぞれ約2か月の時間分解能で分析を行った。
これまでにSr/Ca比とU/Ca比は、水温の指標になることが報告されているが[Beck et al., 1992; Min et al., 1995]、U/Ca比は海水温以外にも、海水のpH [Inoue et al., 2011]や炭酸イオン濃度([CO32-])[Anagnostou et al., 2011]にも依存することが報告されている。したがって、これらの組み合わせから、海水温および炭酸系の復元を試みた。その結果、1970年以降、骨格中のU/Ca比に対する海水のpHあるいは[CO32-]の影響が大きくなった可能性が考えられ、海洋酸性化の影響が示唆される。同様に、骨格中のδ13Cには、13Cスース効果が反映されており、特に1970年以降にδ13Cの減少が大きいことが認められた。
本研究では、インドネシア・ジャワ海に位置するセリブ諸島周辺の海域から採取された塊状ハマサンゴ(Porites sp.)の骨格コアを使用した。骨格中のSr/Ca比は誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置、U/Ca比はICP質量分析計、δ13Cは安定同位体比質量分析計によって、それぞれ約2か月の時間分解能で分析を行った。
これまでにSr/Ca比とU/Ca比は、水温の指標になることが報告されているが[Beck et al., 1992; Min et al., 1995]、U/Ca比は海水温以外にも、海水のpH [Inoue et al., 2011]や炭酸イオン濃度([CO32-])[Anagnostou et al., 2011]にも依存することが報告されている。したがって、これらの組み合わせから、海水温および炭酸系の復元を試みた。その結果、1970年以降、骨格中のU/Ca比に対する海水のpHあるいは[CO32-]の影響が大きくなった可能性が考えられ、海洋酸性化の影響が示唆される。同様に、骨格中のδ13Cには、13Cスース効果が反映されており、特に1970年以降にδ13Cの減少が大きいことが認められた。