日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-03] 高校生によるポスター発表

2019年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O03-P34] 室戸ユネスコ世界ジオパークにおける室戸高校生徒の地域研究事例「室戸の神祭について」

*福岡 絵理1、橋本 七海1、竹村 優衣1、新井 颯人1、濱田 大生1 (1.高知県立室戸高等学校)

キーワード:神祭、少子高齢化、室戸ユネスコ世界ジオパーク

高知県室戸市のような地方都市にとって、人口減少の影響は大きい。一方で、室戸市はユネスコ世界ジオパークにも認定されており、私たち地元高校生が地域の自然や歴史について調査する機会も与えられている。そこで、室戸の伝統行事である「神祭」(秋祭)について調べることで、少子高齢化の時代に高校生にできることはないかを考えてみたい。
神祭は人々の暮らしの中で自然と築き上げてきたものであり、豊作や豊漁、感謝などを神様に伝える伝統行事である。面積248平方キロメートルの室戸市には集落が多数あり、それぞれに神祭や伝統行事が残されている。その中でも、市街地中心にある浮津地域に伝わる八王子宮の神祭を中心に調査を行った。
浮津八王子宮の神祭は毎年10月(2018年は10月6~7日)に開催される。浮津は、かつて捕鯨で栄えた街であり、古式捕鯨で用いられた「鯨舟」や「ひき舟」にみたてた「花台」(花で飾られた山車)の巡行や、古式捕鯨時代より伝わる「鯨舟唄」が歌唱される。この神祭は、浮津地域に属する6つの町の代表者と八王子宮の宮司を中心に予算などを決定したうえで、準備が進められる。神祭は2日間にわたって行われ、老若男女様々な地域住民が参加する。
神祭の内容は世相を反映して変容してきたが、その原因は必ずしも少子高齢化だけではない。最大の変化は約60年前におきた。神祭の開催日が平日から休日に変更され、また、花台の巡行ルートも変更された。開催日の変化は、神祭の参加者にサラリーマンが増えたからであり、巡行ルートの変更は国道55号線が整備され交通量が増加したことに対応したものである。また、近年の少子高齢化の時代に参加人数を確保するため、それまで男性のみで行われていた行事に女性や子供が参加するようになった。それでも、若者の参加が少ないのが現時点での問題となっている。
神祭は今もなお続く伝統行事だが、時代の流れに合わせて変容してきた。このまま少子高齢化、人口減少がすすめば、継承が困難になるかもしれない。私たち若い世代は大人たちに協力し、「神祭」に積極的に参加し、伝統を引き継ぎ、さらに外部に向けて参加を呼びかけて行きたい。