日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-08] 日本地球惑星科学連合の将来に向けた大会参加者からの意見と提言

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 101 (1F)

コンビーナ:浜野 洋三(神戸大学海洋底探査センター)、田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、和田 浩二(千葉工業大学惑星探査研究センター)、隅田 育郎(金沢大学 理工研究域 地球社会基盤学系)、座長:和田 浩二(千葉工業大学惑星探査研究センター)、隅田 育郎

16:30 〜 16:42

[U08-13] Japan Geoscience Letters (JGL) の15年とこれから

*橘 省吾1田近 英一2 (1.東京大学大学院理学系研究科宇宙惑星科学機構、2.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

キーワード:Japan Geoscience Letters 、広報普及

Japan Geoscience Letters (JGL) は,JpGU発足時に地球惑星科学分野全体に情報を伝達する初めての媒体として創刊された.季刊誌として,これまでに15巻1号まで計55号が発行されている(2019年大会時には15巻2号が発行されている予定である).
 対象,手法が多岐にわたる地球惑星科学においては,時に互いの研究の理解が難しいこともあり,分野全体で興味を持たれそうな話題を共有することを目的に,JGLでは毎号最大4本のトピックス記事を掲載してきた.分野や著者の所属機関などのバランスを考慮しながら,編集委員会でトピックスを選定し,15巻1号までに157本の記事を掲載してきた.執筆依頼を快く引き受けてくださり,限られた誌面のなかで,地球惑星科学分野の様々な話題をわかりやすく紹介してくださったすべての著者の皆様に感謝したい.
 これまでの15年の間に議論はされたものの実現できなかったことのひとつに,執筆いただいたトピックス記事をもとにして,一般向けの書籍を出版することがある.JGL誌面ではひとつの記事は4500文字程度で,図表が2-3枚含まれる.これに解説を加えたり,新たな成果を盛り込んだりしていただき,分量を倍にすれば,1万字となり,4-5年分の記事で新書一冊程度にはなる.地球惑星科学分野の研究最前線を一般の方に楽しんでもらう書籍として出版できれば,JpGUの広報普及活動としての新たな柱となるのではないかと考える.
 国際化のために,英語版ニュースレターをつくってはどうかなどの意見もあるかもしれない.しかし,編集の現場は人手が足りず,現状では手が回らない.地球惑星科学全体をできるだけ広くフラットに見渡す意識で,編集作業に加わっていただける方がおられれば大変有難い.とはいえ,大学や研究機関が現在置かれている状況や,現在のJpGUの規模や今後の国際戦略を考えると,研究者だけで実現できることには限界がある.大学では昨今URAを導入し,大学マネジメントと研究者を繋ぐ活動の強化を進めているが,そのような仕組みをJpGUでも取り入れられないだろうか.地球惑星科学という研究コミュニティを代表するJpGUだからこそ,JGLをひとつの軸とした広報普及活動を発展させ,コミュニティ内の共通理解をさらに進め,社会とのつながりを強固にするために,そのような人材活用も考えるべきではないだろうか.
 JGLの15年は,我が国における地球惑星科学分野全体をまとめるコミュニティの形成と発展の15年でもある.JGLは地球惑星科学コミュニティ全体をまとめることに対し,ある程度の貢献をしてきたと編集委員会では考えているが,JpGUの財政状況などを考慮し,今年からJGLの配付は希望する会員限定となっている.JGLではこれまでアンケート調査など読者の皆様からのフィードバックを受ける機会を設けてこなかったが,本講演の場ではぜひJGLのこれまでや今後のあり方について,参加者の皆様からのご意見を頂戴したい.