JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、丹羽 淑博(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター)

[G03-06] 海辺で下位蜃気楼を探そう ―生徒・学生・市民による広域観測網―

*川合 秀明1北村 祐二1柴田 清孝2 (1.気象庁気象研究所、2.高知工科大学)

キーワード:蜃気楼、浮島、光路計算、シチズンサイエンス、理科教育

マダガスカルの海上で偶然蜃気楼に遭遇したこときっかけに(図1)、下位蜃気楼の発生条件などを検討した(川合他 2020、天気)。典型的な海上の下位蜃気楼は、図1のような浮島やダルマ太陽などである。海上付近の大気の構造を詳細に解像・再現できる最新のモデルを使用して、様々な条件での大気の温度構造を再現し、その光路計算を行った。その結果、海上の下位蜃気楼は、かなり一般的に見られそうな可能性が示されている。下位蜃気楼は上位蜃気楼に比べてより頻繁に発生していることは知られているものの、その詳細な発生頻度のデータは存在しないようである。下位蜃気楼の実際の出現頻度を、様々な地域で、その季節依存性や時刻依存性を含め、詳細に明らかにすることは、一つの興味深いテーマである。そうして得られたデータから、逆に海上付近の大気の詳細な構造を逆推定できる可能性もある。小中高校生や大学生、一般市民の方々などを巻き込んでその広域的な観測ネットワークを作ることは、シチズンサイエンスの一つのテーマになりうるものである。