JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG30] 考古科学:地球科学と考古学

コンビーナ:下岡 順直(立正大学地球環境科学部環境システム学科)、畠山 唯達(岡山理科大学情報処理センター)、箱崎 真隆(国立歴史民俗博物館)

[HCG30-P07] 考古学における磁気探査の有効性

*畠山 唯達1,2北原 優3望月 伸竜4 (1.岡山理科大学情報処理センター、2.岡山理科大学大学院生物地球科学研究科、3.九州大学大学院比較社会文化研究院、4.熊本大学大学院先端科学研究部基礎科学部門)

キーワード:磁気探査、帯磁率探査、物理探査、考古学

考古学においては、主に埋没している遺跡・遺物の位置や規模を調べるために物理探査手法を用いることが多い。レーダー、弾性波、電場磁場等を利用し、調べたい物体によって使い分けることは地球科学で行われる物理探査と変わらないが、ターゲットとなる深度が圧倒的に浅いことが特徴である。浅部に焦点を絞ると、もともとの構造がもつ不均質性があるため、データの解釈が複雑になる傾向がある。
古地磁気学・岩石磁気学を専門とする我々は、中でも磁場(磁気異常)や表面帯磁率の測定を通じて、被熱遺構の状況を調査してきた。熱を受けた遺構は周囲の基盤や土壌と比べて磁性鉱物が多く、かつ強い熱残留磁化を獲得する傾向が顕著であり、周囲とは異なるシグナルを発している。それらを岩石磁気学・古地磁気学的手法で捉え、被熱遺構の分布を調べることが可能である。磁気探査で探る被熱遺構の代表的なものは土器を焼成していた窯跡で、操業が終わった後で土壌中に埋没していても、深さ1mくらいまでのものが発する磁気的なシグナル(磁場)は観測可能である。一方、帯磁率探査では、ごく表面付近の帯磁率(磁化率)が高い物質を検知することができるため、建物跡等の内部における被熱部分(竈跡等)を探ることができる。
今回は、これまでに行ってきた各種探査測定と解析についての紹介を行い、とくに古地磁気・岩石磁気学的視点から磁気探査・帯磁率探査の有用性を再検討する。