[HTT19-04] 回遊行動の違いを考慮した公園内視点場の景観的癒しの評価
キーワード:回遊行動、いやし、ランドスケープ
国土交通省は、人口減少が叫ばれている現状の都市構造に対し、コンパクトシティや立地適正化計画を国土創造の上流政策として推進している。都市を縮小していく傾向のなか、とりわけ中心市街地には多様なモノ・コト・ヒトが集約する場所となっている。集約し効率化・最適化される都市に対し、魅力的であることを忘れてはいけない。最適化・効率化は、都市の発展・保全をしていく上では重要であるが、一方で都市の素材的性質や機能として実利一辺倒、つまり無機質なものへと変えてしまう。縮小しながらも無機質な街づくりではなく、魅力ある都市を創造していく必要がある。また、都市緑地法の改正(2018)では緑豊かな街づくりに向けての質的課題として、公園ストックの魅力の低下が懸念されている。これは、公共空間である公園は人々の憩いの場であり、家族や社会とのコミュニケーションの希薄化を解決する糸口であることを示唆していると考える。本研究において魅力ある都市とは、いやしを与える都市であると仮定する。癒しには、主に心理的安心感や多幸感、生産性の向上をもたらす等多様な効果がある。いやしは景観的体験からも得られるとされている。厚生労働省が5年に一度行っている「労働者健康状況調査」より、年々ストレスの影響は増加しており、年代別に見ても男女ともに共通している。都市計画を考えるにあたり社会問題の解決もしくは緩和を行う視点を持ち、論じていく必要がある。都市の最適化・効率化を推進し、かつ魅力ある都市(=いやしを与える)を築くため、都市緑地空間内の回遊行動に着目する。行動分析学に基づき人間の行動を研究対象として、行動に起因する要因を解明し、行動に関する法則性を見出すことが本研究における発展に寄与する考えのもと、回遊行動に焦点を当てる。緑地空間内の回遊行動における視覚的景観変遷に伴う心理的ポテンシャルの変化を捉え、いやしを与える要素の抽出や構造を定量的・定性的に明らかにすることを目的とする。結果として、回遊行動に伴う景観的癒しの評価を4軸把握し、評価に影響を与える基準を定量的に示すことができた。