JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI36] Open Science in Progress: Data Sharing, e-Infrastructure, and Transparency in International Contexts

コンビーナ:近藤 康久(総合地球環境学研究所)、Baptiste Cecconi(LESIA, Observatoire de Paris, CNRS, PSL Research University)、村山 泰啓(国立研究開発法人情報通信研究機構 戦略的プログラムオフィス)、Shelley Stall(American Geophysical Union)

[MGI36-P04] JAMSTECサンプルの管理:いろんなサンプルをみんなで管理する

★招待講演

*富山 隆將1伊勢戸 徹1豊田 安美1森岡 美樹1伊藤 誠1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:サンプル、キュレーション、データベース

JAMSTEC*1では、JAMSTEC・AORI*2・JURCAOS*3協働で実施する学術研究船共同利用航海[1]や、JAMSTECの所内利用・研究船利用公募航海で取得されたサンプル・データを、オンライン上のデータベース(DB)サイトを通して、研究・教育などの二次利用に公開している。これらのDBは、長期的には整理統合の過程にあり、岩石・堆積物コアサンプルの公開系は、2017年度に「DARWIN(航海・潜航データ・サンプル探索システム)」に統合された[2]。現在「海洋生物サンプルDB [3]」で公開されている生物サンプルも、既に一部の情報がDARWINに送信されており、その検索・表示機能を利用できるようになっている。
DB統合は、公開系だけでなく、サンプル保管管理者向けの管理系システムでも進められている。2018年度には、JAMSTECが主として管理する岩石・コア・生物サンプルを全て取り扱う「JSDB(JAMSTECサンプル管理DB)」が導入され、2019年度は、この新システムへのデータ移行が進められた。岩石と堆積物コアについては、管理系のJSDBから公開系であるDARWINへの情報送信が近日中に始められる予定である。
JSDBは、航海時の採取サンプル情報(メタデータ)、現有実体サンプルの状態や所在を管理する保管サンプル情報、サンプルから取得された各種データを管理するサンプル関連データ情報、論文等の文献情報、利用申請とその対応について記録するサンプル提供情報などのデータテーブルで構成されている。ユーザー権限はグループ制となっており、セキュリティ上の理由でJAMSTEC内と限られてはいるものの、情報管理部署以外のサンプル保管管理者にも適切な範囲で情報を閲覧し、登録・更新ができるようになっている。関連データについては、写真・画像データや文章による記述、スプレッドシートや外部URLなど多様なデータ形式が想定されており、個別に外部公開・非公開の設定やグループ設定ができる。課題・プロジェクト情報やサンプル・データ取り扱いの契約要件など、複数のサンプルに紐づけるべき記録を関連データとして管理することも可能である。また、特に岩石や堆積物コアなど、地質系サンプルの採取サンプル情報については、将来的なIGSN (International Geo Sample Number)への対応を考慮し、メタデータ項目の構成や用語遣いを、IGSN Descriptive Metadata [4]になるべく合致するように整理した。
サンプル・データ管理においては、当初の想定外の条件・状況への対応のために、多くの業務リソースを消耗しがちである。情報システムの柔軟性の欠如や複雑性はしばしばその要因となるため、ロバスト性を意識した設計と運用が必要である。

*1海洋研究開発機構, *2東京大学大気海洋研究所, *3大気海洋研究拠点, *4Inernational Geo Sample Number

[1] AORI共同利用ウェブサイト:https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/coop/
[2] JAMSTEC DARWINウェブサイト:http://www.godac.jamstec.go.jp/darwin/
[3] JAMSTEC 海洋生物サンプルDB:http://www.godac.jamstec.go.jp/bio-sample/
[4] SESARウェブサイト:https://www.geosamples.org/metadata