JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] ジオパーク

コンビーナ:田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)、有馬 貴之(横浜市立大学)

[MIS21-P04] ジオとガイドで付加価値を付け観光地の魅力を増幅 Oホテルバスツアーガイドの取組み

*仲江 孝丸1 (1.日本ジオパークネットワーク)

キーワード:ジオパーク、観光、バスツアー

ジオとガイドで付加価値を付け観光地の魅力を増幅

Oホテルバスツアーガイドの取組み

Approach of Nanki Kumano Geopark

Guided tours add value to tourist destinations ~Guide to hotel-hosted bus tours~



仲江 孝丸1

NAKAE Takamaru1



1南紀熊野ジオパークガイドの会

1 Association of Nanki Kumano Geopark Guides



 「ジオパークは観光に結び付かない」 6年前、南紀熊野がジオパーク認定を目指していた時期、観光関係者の中からこうした声を聞いた。そもそもジオパークは持続可能な地域づくりに主眼があって、観光はその要素の一つでしかない。しかしジオの観点でガイドが語る事によって、観光スポットがより魅力ある物に変る。その取り組み事例を紹介する。
 和歌山県串本町にあるOホテルでは平日の集客のために、京阪神から格安の往復バスを運行している。往路のバスはホテルに午後2時過ぎに到着し、そのバスは前日の客を乗せて午後3時に出発する。つまり宿泊の翌日は10時までにチェックアウトして、午後3時までの間にかなりの時間がある。そうしたお客さんを退屈させないためにオプションで観光地の周遊バスを走らせることになった。
 バスはシーズンによってコースを変えているが、古座川を巡るコースの時には、ガイド付きのツアーとなっている。コースは朝9時半にホテルを出発して日本一の巨岩古座川の一枚岩に行って続いて沢山のポットホールがある滝の拝。町営の宿ぼたん荘で昼食を食べ、午後からは巨大なタフォニのある高池の虫喰岩、最後に奇岩が立ち並ぶ橋杭岩に立ち寄って午後2時半にホテルに戻る。立寄る箇所はいずれも南紀熊野ジオパークのジオサイトに指定されており、かつての巨大カルデラ噴火の名残と言われる古座川弧状岩脈を巡るコースでもあり、まさにジオツアーである。Oホテルはこのツアーのガイドを南紀熊野観光協会へ依頼してきた。
 南紀串本観光協会は串本町観光協会と古座観光協会の合併で、発足して間もない観光協会である。ガイド部会も立ち上げて、ウォークイベントも定期開催しているが、Oホテルからの依頼にはジオパークガイドの資格を持つ6名のガイドが分担して対応する事となった。バスの移動途中には「ジオパークとは」から始まり南紀熊野の大地の成り立ちは勿論の事、地域の食材や自然の紹介。歴史や民話、伝統行事など盛りだくさんの話をしている。バスを降りるときにお客様から「楽しかった。参加してよかった」との沢山の声を頂く。ホテルの話では「ガイド付きツアーの時はお客様は笑顔で帰ってくる」との事だ。
 Oホテルバスツアーを取り組むようになって良かった点は、学校や団体からのガイド依頼が来た時にこのコースを全体或いは一部を組み入れれば、経験豊富なガイドを派遣できるようになった事である。県議会の常任委員会視察や団体の懇親ツアー、中学生を対象にした教育普及事業などで、このコースをガイドして好評を頂いている。
 これまでのただ眺めるだけの観光では客は呼べない。ジオパークガイドによる解説で付加価値を付け、豊かな自然が更に魅力ある物になれば、より多くの来客につながると確信している。ガイド文化を地域に根付かせジオパークを観光に繋げている活動を報告する。

 主な内容は以下の通り。
1、串本町の観光客の推移
2、南紀串本観光協会の設立
3、Oホテルのバスツアー
4、波及効果
5、今後の展望