JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P50] マイクロプラスチックによる海洋汚染

*青野 那々子1、*磯谷 海斗1、*杉山 康貴1、*中田 有紀1、*矢野 元暉1 (1.静岡県立韮山高等学校)

キーワード:マイクロプラスチック、伊豆半島

1.研究の背景
今日、マイクロプラスチック(以下、MP とする)による海 洋の汚染が進行している。海洋生物が MP 自体と、それに付 着した有害物質を摂取すると、生物濃縮によって海鳥や人間 の健康にも影響を及ぼす可能性がある。汚染の度合いを調べ るためには MP の量を把握する必要があるが、静岡県内には その計測データが少ない。そこで、高校生でもできる MP の 検出方法を確立し、伊豆半島の周辺の海、川にどの程度 MP があるかどうかを調べた。
2.研究の手順
①狩野川、静浦ダイビングセンター、静浦漁 港センター、淡島、我入道(狩野川河口)、沼 津港で試料採取を行った。
②それらの場所の水をポンプで汲み上げ 315 μmのプランクトンネットを用い、500L ろ過し て浮遊物を採取した。
③プランクトンネットに残っていたものを ろ紙でろ過し、乾燥させた。
④汲み上げたものには、MP 以外にも草、木、 プランクトンなどの有機物があるため、10% KOH水溶液でそれらを分解させるために、 2日間放置した。
⑤2日後、溶液をろ過し、再び乾燥させた。
⑥そのサンプルを 30%H2O2水溶液につけ 2 日間放置し、有機物を分解した。
⑦2日後、溶液をろ過し、乾燥させた。
⑧乾燥したサンプルを双眼実体顕微鏡下で
観察し MP を探した。
⑨70%NaI水溶液に試料をつけウォーターバスで 60°Cの湯煎をしながら、6 時間以上放置。
⑩その後、冷却して、NaIを再結晶させた。 ⑪再結晶させたものの上澄み水溶液と、再結晶した上半分の 結晶と試料を採取した。
⑫採取したものを水で薄め、ろ過をし、乾燥させた。
⑬⑫をブルーライトで当て、専用眼鏡で観察した。
3.研究結果
地点 採取日 個数
狩野川 9/4 8
静浦ダイビングセンター 9/16 3
静浦漁港 9/16 2
淡島 10/19 2
我入道 11/4 5
沼津港 11/4 11
4.現在までの成果 学校の設備では細かすぎると観察できな いのでプランクトンネットの網目を 315μmにし MP の採取に成功した。採取した川 や海の水から有機物等を取り除き、MPを 検出しやすいサンプルを作ることに成功 した。そのサンプルから MP を検出するこ とにも成功した。サンプルにブルーライ トを当てると一部のプラスチックが発光 することが分かった。
5.考察
高校生でも高校にある設備で伊豆半島及び狩野川に存在す る MP を検出できることが分かった。研究結果から判断する と沼津港以外の海洋より、河川の方が検出された MP の数が 多い傾向にあることからこの地域の海洋汚染の原因は河川 からの MP の流出である可能性が高いことが考えられる。し たがって、海洋汚染を進めないためには河川にごみを投棄し ないことが重要であると考える。また、漁港である沼津港は プラスチックの使用頻度が高いことで検出数が多くなって いると思われる。MP の量は人間生活に深くつながっている と考えられる。
6.今後の展望
各地点ごとに、検出されたプラスチックの種類を調べる。使 用したプランクトンネットの網目が 315 μmであるため、対 象を 315 μm以下のサイズの MP まで広める。今回の計測では 台風 19 号の後に計測した値も含まれるため、試料の採取を より広範囲で、定点観測を行うようにして伊豆半島海岸域に おける MP の量や流出場所を推定する。また、ブルーライト を用いた MP の検出方法を確立させるほかにブルーライトで は反応しない MP の検出方法を見つける。
7.参考文献
海岸域におけるマイクロプラスチックの調査手法の確立 http://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko- 510/documents/412slide.pdf
8.謝辞
静岡県環境衛生科学研究所 平松 祐志様
筑波大学 下田臨海センター 佐藤 壽彦様