JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-05] 日本のジオパークから日本列島の成り立ちを知る

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、今井 ひろこ(コムサポートオフィス/和歌山大学国際観光学研究センター)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)

[O05-P43] まちなかジオツアーで健康づくりー富山市街地における取り組みー

*安江 健一1山岡 勇太2田辺 友也3原田 拓也1打越山 詩子2田島 敏美3中川 潔2大西 宏治1今堀 喜一2 (1.富山大学、2.一般社団法人立山黒部ジオパーク協会、3.認定NPO法人まちづくりスポット)

キーワード:立山黒部ジオパーク、富山大学、まちづくりスポット、健康、市街地

立山黒部ジオパークは,富山県東部の9市町村と富山湾の一部で構成される日本ジオパークである。エリアには,「100のレジリエント・シティ」や「SDGs未来都市」に選ばれている富山市も含まれている。富山市は,公共交通を軸としたコンパクトシティの先進都市であり,これまで進めてきたまちづくりの実績を踏まえつつ,健康づくりと融合した歩きたくなるまちづくりを推進している(富山市活力都市創造部活力都市推進課, 2019)。また,立山黒部ジオパーク協会では,市街地におけるジオパークのサインやジオパーク活動の浸透が課題の一つとなっており,富山大学と一緒に見学できるジオツアーの素材などを検討していた。そこで,これらに関わるメンバーが集まり,各立場の課題と情報を共有して議論を重ね,まちなかジオツアーを企画した。
2019年は,「とやまし元気づくりプロジェクト」の一つとして,市街地の地形・地質などを学びながら散策し,世代を越えてお互いのもつ情報や知識を共有し合うまち歩きを企画・実施した。7月から11月まで毎月1回の企画であり,働き盛りの男性が子供と一緒に参加しやすいように,土曜日の午前に実施した。
このまち歩きのジオツアーのポイントは,参加者が身近な地形・地質などに興味を持ち,会話をしながら各自が持つ情報や知識を共有し,自らが「問い」をたてられるようになることである。さらに,自ら調べに行く意欲が増すことで,歩く機会が増えることにも期待した。
ガイドする際に心がけたことは,①探究心を持って主体的に取り組めるように支援する,②身近なものを不思議に思える視点を持てるようにする,③各自の思い出やエピソードを大事にする,④マイクを渡して積極的に話していただく,⑤参加者同士の対話を促進させる,⑥毎回のつながりが感じられることである。つながりを感じられるためには,ストーリーづくりが重要であり,2019年は水害に関わる地形・地質・インフラ・まちづくりなどを毎回感じられる企画とした。その結果,最終回には,参加者自らが水害の際に危険な場所を指摘する場面もみられた。
今後は,住民からの話を聞く時間が少なかったことや興味があっても都合で参加できなかったことなどの課題に対して,同じ地点で2回開催して自然を感じる回と話を聞く回に分けることなどを考えている。また,持続可能な取り組みにするために,住民が主体的に参加できる仕組みを学生も一緒になって検討していく予定である。

引用文献:富山市活力都市創造部活力都市推進課(2019)富山市歩くライフスタイル戦略,90p.