JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM12] 大気圏ー電離圏結合

コンビーナ:Huixin Liu(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、Yue Deng(University of Texas at Arlington)、Loren Chang(Institute of Space Science, National Central University)

[PEM12-P11] GNSS-TECで見る大気中の波の伝搬:火球爆発と大気モード

*松下 愛1日置 幸介1 (1.北海道大学大学院理学院)

キーワード:TEC、GPS、QZSS

大気圏で発生した現象による電離圏の電子数(Total Electron Content, TEC)の変化はこれまでGNSS (Global Navigation Satellite System)を用いたGNSS-TEC法によってしばしば観測されてきた。例えば比較的大きな隕石がもたらす火球が地上付近の大気圏で爆発すると、音波や内部重力波が大気を伝わってTECが変化する。2013年2月15日にチェリャビンスクに出現した、観測史上最大といわれる火球でも、複数のGPS衛星と地上受信機を結ぶ視線でTECに顕著な擾乱信号が確認されている(e.g. Ding et al., 2016) 。本研究では、2013年チェリャビンスクの火球爆発に伴うTEC擾乱を、IGS点で取得されたGPS衛星データを用いて追試して確認した。さらに、2018年12月にベーリング海上空で生じた大規模な火球出現に伴うTEC擾乱の信号を近傍のGNSS点のデータを用いて調べた。その結果、火球が出現した日に正のTEC変化や継続した変動がみられた。信号が見られた衛星や地上局の数が少なく断定はできないが、これらの信号は火球由来の可能性がある。

また本研究では、日本およびその周辺において長期間の安定したTEC観測が可能なQZSS静止衛星(PRN07)を利用して2019年一年間に及ぶ連続TECデータを取得し、大気由来の様々な擾乱を検出するための予備的な調査を行った。最初にQZSS-TEC観測で得られた様々な時間幅を持つTEC時系列に対してスペクトル解析を行った。その結果日周変化およびその高調波、また太陽の自転周期などのピークが確認された。地上の重力計や広帯域地震計による地球常時自由振動の観測では、固体地球と大気との結合によって周期4分前後の大気モードに近い成分が他の成分に比べて卓越することが知られている。しかしそれらがTECの変動として電離圏にも生じているかはまだ確認されていない。本研究では微弱な大気モードのTECによる検出を目指す。