JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS09] 惑星科学

コンビーナ:仲内 悠祐(宇宙航空研究開発機構)、嵩 由芙子(会津大学)

[PPS09-08] 水素大気をもつ惑星同士の衝突現象と合体条件への示唆

*黒崎 健二1犬塚 修一郎1 (1.名古屋大学大学院 理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻)

キーワード:巨大衝突、巨大氷惑星

惑星形成過程の最終段階では,天体同士が衝突合体を起こすことで成長する.系外惑星にも見られる海王星サイズの天体は,天体質量の10% 程度の水素大気を持っており,このような水素大気は原始惑星系円盤のガスを獲得したものだと考えられている.系外惑星や巨大氷惑星のように現在も水素大気を持っている天体は,惑星形成過程における巨大衝突ステージにおいても,大気を持った状態の天体同士が衝突することが期待され,さらにその質量比も近い衝突が発生することが予想されている.しかし,そのような衝突合体を経験することから,現在観測されている惑星の大気質量と,円盤ガスを獲得した直後の惑星大気質量は一致しない.また衝突によって天体は常に合体するとは限らず,hit-and-runのように合体しない衝突現象も存在するが,大気を持った天体同士での合体条件はよくわかっていない.そこで,本講演ではターゲット,インパクター共に水素大気を持った状況における天体衝突現象を数値流体計算によって明らかにする.天体衝突現象はSmoothed Particle Hydrodynamics法を用いて計算し,ターゲットとインパクターは共に水素大気を10%保持したものとして計算し,天体衝突後の惑星質量,角運動量,水素大気量に注目した.また,衝突角度に応じて天体同士が合体する場合と合体しない場合に分けて考察し,合体する条件の制約を試みた.計算の結果,天体同士が合体するためにはコア同士が接触する必要があり,大気同士が接触する状況では,合体しないことがわかった.本講演では,様々な質量比での衝突計算の結果を示し,巨大氷惑星の形成環境への示唆を与える.